指定難病20「副腎白質ジストロフィー」とは?
1.副腎白質ジストロフィー
脳と副腎に深く関係する、まれな遺伝性の病気「副腎白質ジストロフィー(Adrenoleukodystrophy:ALD)」。
特に小児期に発症するタイプでは、進行が早く、身体機能や認知機能の低下が短期間で進行することもあります。
早期発見と適切な支援が、患者さんのQOLを左右します。
本記事では、症状や原因、治療法、そして家族・介護職が意識したい支援ポイントを分かりやすく解説いたします。
2.分かりやすい説明
副腎白質ジストロフィーは、「脂肪の分解に関わる酵素の異常」が原因で起こる遺伝性の病気です。
体の中では、脂肪の一種である「極長鎖脂肪酸(きょくちょうさしぼうさん)」という物質がうまく分解されず、少しずつ体にたまっていきます。
この脂肪が脳の神経を守る「白質(はくしつ)」や、副腎というホルモンを作る臓器にたまっていくことで、神経の伝達がうまくいかなくなり、体が思い通りに動かなくなっていきます。
たとえば、歩き方が不自然になったり、物忘れがひどくなったり、急に性格が変わってしまうこともあります。
3.主な症状
副腎白質ジストロフィーの症状は、発症年齢や病型によって異なりますが、主に以下のようなものがあります:
- 小児型(児童期発症型):
- 学習能力の低下、注意力の欠如
- 歩行障害、けいれん、視力や聴力の低下
- 徐々に寝たきりになるケースもあります
- 成人型(AMN型):
- 下肢の筋力低下、歩行障害
- 性機能の低下、尿失禁など
- 副腎不全型:
- 体がだるくなる、体重減少、低血圧など
症状が進行すると、意思疎通が難しくなるため、日常生活のサポートが必要となります。
4.現在分かっている原因と研究の動き
副腎白質ジストロフィーは、X染色体上にあるABCD1遺伝子の変異が原因です。
この変異により、極長鎖脂肪酸の分解に必要なタンパク質が正常に作られず、脂肪が蓄積してしまいます。
遺伝性の疾患であるため、特に男児に多く発症しますが、女性はキャリア(保因者)として軽い症状が出ることがあります。
現在も、遺伝子治療や幹細胞移植などの研究が進められており、治療の選択肢が増えることが期待されています。
5.治療法
現在のところ、根本的な治療法は確立されていません。ただし、以下のような対処療法や進行予防の手段が用いられています:
- 副腎不全へのステロイド補充療法
- 極長鎖脂肪酸の摂取を制限する食事療法(例:ロレンツォオイル)
- 同種造血幹細胞移植(早期発見時に有効)
- リハビリテーションによる身体機能の維持
早期診断と早期治療が、予後の改善に重要とされています。
6.患者数
日本国内の患者数は、2022年度時点で約200人と推定されています。
非常にまれな疾患であり、特に小児型の早期発見が課題となっています。
7.家族・介護職が意識したい支援のポイント
- 疲れやすさや低血糖など、副腎不全による症状に日常的に注意しましょう
- 症状の進行に伴い、運動や認知面でのサポートが必要になります
- 認知機能の低下や性格の変化が現れた際は、否定せず、落ち着いた対応を
- 食事療法の継続には、家族と医療・栄養スタッフの連携が重要です
- 将来的な医療的ケア(胃ろう・人工呼吸器など)への備えも話し合っておきましょう
8.まとめ
- 遺伝性で極長鎖脂肪酸の代謝異常が原因です
- 小児期に発症するタイプは進行が早く、早期発見が鍵です
- 現時点では根治療法はなく、対処療法とリハビリが中心です
- 家族や支援者の理解と連携が患者の生活を支えます
- 食事・運動・コミュニケーション支援が介護の要です
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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