指定難病21「ミトコンドリア病」とは?
1.ミトコンドリア病
「体のエネルギー工場がうまく働かない――そんなことが、全身の不調につながる病気があります。」
ミトコンドリア病は、細胞内の“エネルギーを作る装置”であるミトコンドリアの機能が障害されることで、エネルギー不足による多様な症状が現れる指定難病です。
ミトコンドリアは全身の細胞にあり、特にたくさんのエネルギーを必要とする脳や筋肉、心臓などで重要な役割を果たしていますが、この機能が低下するため、全身のさまざまな臓器に異常が出るのが特徴です。
診断や治療は専門的であり、進行を遅らせる支援と介護が大切になります。
2.分かりやすい説明
ミトコンドリア病は、体の中の「ミトコンドリア」という小さな“エネルギー工場”がうまく働かなくなる病気です。
ミトコンドリアは、細胞が動いたり生きたりするために必要なエネルギー(ATP)を作っています。
たとえるなら、ミトコンドリアは私たちの体の各部屋にある“発電機”のようなもので、ここが壊れるとその部屋で動く電気が足りなくなるような状態になります。
このため、エネルギーをたくさん使う脳・筋肉・心臓・内耳などの臓器に症状が出やすいのです。
症状や重さは人によって大きく異なり、乳幼児期に高度な症状が出る場合から、成人になってからゆっくり進行する場合まで幅広いパターンがあります。
原因としては、細胞の核にあるDNAやミトコンドリア自体のDNAの遺伝子変異が関係していることが知られています。
3.症状
ミトコンドリア病は臓器ごとに症状が出るため多彩ですが、代表的なものは以下のとおりです。
- 中枢神経症状:けいれん、ミオクローヌス(体がビクッとなる動き)、失調(バランス障害)、脳卒中様発作、知能低下、偏頭痛、精神症状など
- 筋系症状:筋力低下、易疲労性、ミオパチー(筋疾患)
- 心臓症状:心伝導障害、心筋症、肺高血圧
- 眼・耳の症状:視神経萎縮、網膜色素変性、感音性難聴
- 内分泌・代謝症状:糖尿病、成長障害、低身長
- 肝・腎障害:肝機能障害、ファンコーニ症候群、糸球体障害など
- 消化器症状:下痢・便秘など
このようにミトコンドリア病は全身のさまざまな臓器に影響し、症状の組み合わせによって個々の患者さんの状態が大きく異なります。
4.現在分かっている原因と研究の動き
ミトコンドリア病の原因は、ミトコンドリアの機能を支える遺伝子の異常です。これには2つのタイプがあります:一つは核DNA上の遺伝子の変異、もう一つはミトコンドリア内部のミトコンドリアDNA(mtDNA)の異常です。
現時点で、200種類以上の遺伝子が関与していることが明らかになっており、原因遺伝子ごとに臨床像や進行速度が異なることも研究で分かっています。
研究の動きとしては、遺伝子診断の精度向上や、遺伝子パネル検査の保険適用化などが進んでおり、早期診断・治療方針の決定に役立っています。
また、世界的に新しい治療薬候補(例:MA‑5) の臨床試験も進められており、将来的な治療選択肢の拡大が期待されています(これは日本国内でも第II相試験が計画されています)。
5.治療法
ミトコンドリア病には根本的に治す治療法はまだ確立されていません。そのため治療は主に症状の緩和と合併症への対応が中心です。
対症療法としては以下のような方法があります:
- てんかん発作への治療(抗てんかん薬など)
- 糖尿病や心疾患への適切な治療
- 補聴器・人工内耳などの機能補助具の使用
- リハビリテーション(理学療法・作業療法)や栄養管理
臓器ごとの症状に応じて専門医と連携した治療計画を立てることが重要です。
6.患者数
正確な全国統計は公表されていませんが、国内の研究では 約2,000人程度 の患者さんがいると推定されています。
患者数の把握は難しく、実際にはもっと多くの未診断例がある可能性も指摘されています。
7.家族・介護職が意識したい支援のポイント
ミトコンドリア病の支援では、症状が多岐にわたり、進行パターンも人それぞれであるため、以下のような配慮が重要です:
- 定期的な医療受診と専門医との連携:神経・内分泌・心臓・消化器など複数分野のチェックが重要です。
- 日常生活支援:歩行や食事・コミュニケーションの補助、転倒予防、疲れやすさへの配慮。
- 合併症の早期対応:糖尿病、心疾患、難聴など合併症への適切な治療・管理。
- リハビリ・栄養管理:全身の機能維持・改善をめざしたリハビリや栄養支援。
- 心理・社会的支援:症状の不確実性や進行の不安に対して、患者本人・家族への相談支援や地域資源の活用。
こうした多職種連携と継続的な支援がQOL(生活の質)の維持に重要です。
8.まとめ
- ミトコンドリア病は エネルギーを作るミトコンドリアの機能障害が原因 です。
- 症状は 全身の複数臓器に広がり、多彩です(神経・筋・心臓・内分泌など)。
- 根本治療法はなく、対症療法・合併症治療が中心 です。
- 国内には 約2,000人程度の患者さんがいる と推定されています。
- 支援では 医療・介護・リハビリ・家族支援の連携が重要 です。
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
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