指定難病26「HTLV-1 関連脊髄症」とは?
1. HTLV-1関連脊髄症
歩くときに足がもつれる、力が入りにくい、頻尿が続く…。これらの症状は「HTLV-1関連脊髄症(HAM)」の初期サインかもしれません。
この病気は、「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)」というウイルスによって、脊髄に慢性的な炎症が起き、ゆっくりと進行する神経の難病です。
成人T細胞白血病(ATL)を引き起こす同じウイルスが原因ですが、HAMは非がん性の神経疾患です。
2. 分かりやすい説明
HTLV-1関連脊髄症(HAM)は、神経の通り道である「脊髄(せきずい)」に炎症が起きて、足の動きが悪くなったり、おしっこが近くなったりする病気です。
HTLV-1というウイルスが原因で、このウイルスは一度感染すると体の中にずっと残ります。
でも、すぐに病気になるわけではなく、何十年も経ってから発症することがあります。
歩きにくくなったり、階段がつらくなったりする人もいますが、早期に気づいてリハビリや治療をすることで、進行を遅らせることができます。
3. 症状
HAMの主な症状は、下半身の運動や排尿機能の障害です。
- 歩行が不安定になる(歩行障害)
- 階段の昇降や立ち上がりが困難になる(下肢筋力の低下)
- 足が突っ張る(痙縮:けいしゅく)
- 頻尿や尿漏れ(膀胱障害)
- 慢性的な腰痛や足のしびれ
これらの症状は少しずつ進行し、長い時間をかけて日常生活に支障が出てきます。
4. 現在分かっている原因と研究の動き
原因は「HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)」への感染です。
このウイルスは、母乳・性交渉・輸血などを通じて感染することが知られています。
日本はHTLV-1の感染者数が多い国の一つで、特に九州地方を中心に分布しています。
現在、HAMの病態を詳しく解明するための研究が進められており、免疫応答との関係や、発症メカニズムの特定が注目されています。
5. 治療法
HAMに対する根本的な治療法は、現時点では確立されていません。
ただし、以下のような治療やケアが行われています。
- 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど):炎症を抑える効果
- インターフェロン-α:ウイルスに対する免疫反応を助ける治療法
- 対症療法:膀胱機能への対応や痙縮(足のつっぱり)を和らげる薬
- リハビリテーション:歩行機能や日常生活能力の維持・改善を目的に継続的に実施
個別の症状に応じた対応が重要となります。
6. 患者数
難病情報センターによると、HTLV-1関連脊髄症の日本における患者数は、約3,000人とされています(2021年時点の概算値)。感染者全体に対して発症する割合はごく一部で、1000人に1人程度と見られています。
7. 家族・介護職が意識したい支援のポイント
HAMの介護で特に意識したいポイントは、「動きや排尿のサポート」と「自尊心を大切にした関わり」です。
- 杖や手すりなど、歩行補助具の早めの導入を検討しましょう。
- 頻尿・尿漏れがある場合は、トイレ誘導のタイミングや羞恥心への配慮が大切です。
- 感情や思考には影響が出にくいため、本人の意思を尊重する姿勢が重要です。
- 疲労感や足の痛みなど、目に見えにくい症状にも理解を。
家族や介護者の寄り添いと、主治医・リハビリ職との連携が、QOLの維持につながります。
8. まとめ
- HTLV-1ウイルスによる脊髄の慢性炎症が原因の神経疾患です。
- 歩行や排尿に関する症状がゆっくり進行します。
- 治療法は確立されていませんが、症状の緩和や進行抑制は可能です。
- 早期の歩行補助と、プライバシーへの配慮が重要です。
- 九州地方を中心に多く、日本での感染対策も進められています。
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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