今回は『高血圧症』について説明していきたいと思います。
高血圧症
そもそも血圧とは
私たちの体に流れている血液は、生きていく上で欠かせない酸素や栄養素を全身に届けています。
血圧は、心臓がポンプのように収縮と弛緩を繰り返し、血液を全身に送り出す時の圧力のことです。
血圧には二つの値があります。それが、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)になります。
収縮期血圧(最高血圧)は心臓が収縮して血液を押し出す時に血管にかかる圧力になります。
拡張期血圧(最低血圧)は心臓が拡張して休んでいる間の血管にかかる圧力になります。
1日の中での変動
血圧は、朝起床時に大きく上がり、昼食時にピークを迎えます。夕方以降に少しづつ下がり、睡眠時には最も低くなります。
日常的な変動
血圧は、運動時はもちろん、食事中や飲酒、トイレなどの日常動作でも上がります。
入浴後、暖かいところから寒い脱衣所に出た場合、体温を逃さないように血管が縮んで血圧が上がります。
喫煙、ストレス、喜怒哀楽でも血圧は上がります。
逆に、血圧が下がるのは、食事の後に消化・吸収のために胃腸に血液が集まっている時、入浴の時に身体が温まり血管が広がった時、浴槽から出て立ち上がった時、排泄後などです。
環境による変動
寒暖の差が激しい時や季節の変わり目、冬の寒さによるストレスなどでも血圧は上がります。
冬のお風呂場は、体温を逃さないように血管が収縮しやすく、血圧が上がりやすくなります。
高血圧とは
高血圧とは、安静にしていても血圧の高い状態が長く続いた状態をいいます。
血管をホースに例えると、通常の血圧が普通にホースから水が出ている状態だとすると、高血圧はホースをグッと潰して、勢いよく水を出しているような状態だと言えます。
高血圧の血管が、どれだけ負担がかかっているか想像できるかと思います。
高血圧の定義
成人における血圧値の分類(mmHg)
正常血圧 上が115以下、かつ、下が75以下
正常高値血圧 上が115~124、かつ、下が75以下
高値血圧 上が125~134、かつ ⁄ または、下が75~84
Ⅰ度高血圧 上が135~144、かつ ⁄ または、下が85~89
Ⅱ度高血圧 上が145~159、かつ ⁄ または、下が90~99
Ⅲ度高血圧 上が160以上、かつ ⁄ または、下が100以上
(日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」を参考にしています。)
高血圧から起こる病気
・動脈硬化
血管の壁は元々弾力があるものですが、高血圧状態が長く続くと、血管の壁に常に圧がかかった状態になり、次第に硬く、分厚くなっていってしまいます。これが動脈硬化になります。
・脳出血
・脳梗塞
・大動脈瘤
・心筋梗塞
動脈硬化が起こる場所によって、上記のような病気が発症します。
・心不全
また心臓も高い血圧に負けないように無理をする事になり、心臓肥大が起こり、心不全にいたる事があります。
血圧が高くなる原因
塩分の取り過ぎ | 塩分を取り過ぎると、体内の塩分濃度を低くするために、腎臓が体から水分が出ていくのを防ごうとして、体内の血液量が増えます。 そうすると、一度の心拍で送り出す血液の量が増えるので、血圧も上昇します。 |
肥満 | 肥満の人は内臓脂肪の多さや食べ過ぎによる塩分の取り過ぎ、インスリンの過剰分泌などによって、体内の血液量が増加して血圧が上がりやすいです。 |
過度の飲酒 | お酒を長期間に渡って、習慣的に過剰に飲むと血圧が上がりやすくなります。ただ、このメカニズムは詳しく解明されていません。 |
運動不足 | 適度な運動は体内の余分な塩分を排泄する役割があります。運動不足になると、逆に塩分を溜めやすくなるので、体内の血液量が増えてしまいます。 |
ストレス | ストレスは交感神経を刺激して、血管を収縮させるので血圧が上がります。一時的なストレスなら、気持ちが落ち着けば血圧も下がります。 しかし、ストレスが慢性的になると、血圧が高い状態が続くこともあります。 |
喫煙 | 喫煙すると交感神経を刺激して、血圧が上がります。 喫煙は動脈硬化のリスクも高めます血管が硬化すれば、弾力が無くなるので、血圧も上がります。 |
加齢 | 年齢を重ねると、血管の弾力性が失われ、血圧が高くなります。 女性の場合は、閉経後にホルモンバランスが変化する事で、交感神経が優位になりやすく、血圧が上がりやすくなります。 |
体質 | 一緒に暮らす家族は、生活習慣が似る事から、高血圧の人の家族は高血圧になりやすい、という傾向はあるようです。 |
血圧を下げる方法
血中の塩分を体外に排出する | ・運動や入浴で汗をかく。 汗と一緒に塩分も排出できます。 ・カリウムを摂取する。 カリウムは尿を出やすくして、尿が出る時にカリウムと同じ量の塩分(ナトリウム)を排出してくれます。 カリウムは野菜や果物、海藻、いも類に多く含まれています。 ・水分を多く摂取する。 水分を排出する時に塩分も排出します。 |
肥満 | ・痩せる。 BMIで25未満が目標。 |
過度の飲酒 | ・お酒をやめる。 |
運動不足 | ・運動で汗をかく。 汗と一緒に塩分も排出できます。 運動して筋肉をつければ、肥満対策にもなるので効果は高い。 ただし、激しい運動は活性酸素の原因にもなるので注意が必要です。 |
ストレス | ・ストレスを無くすのは難しいと思うので、解消できそうなものから無くしていき、ストレスを減らすのが現実的かと思います。 ・副交感神経を優位にする。 体を温める飲み物を飲む。ハーブティーやジャスミンティー、生姜湯やココアなども良い。 寝る前のスマホやパソコンをやめる。 |
喫煙 | ・タバコをやめる。 |
加齢 | ・抗酸化物質を摂る。 抗酸化物質は老化の原因である活性酸素が細胞にダメージを与えるのを防いでくれます。 抗酸化物質はビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ、ポリフェノールなどを含む食品から摂取できます。 ・副交感神経を優位にする。 体を温める飲み物を飲む。ハーブティーやジャスミンティー、生姜湯やココアなども良い。 お酢や梅干し、レモン、唐辛子やわさびなどすっぱい物や辛い物を食べる。 |
体質 | ・生活習慣を見直す。 高血圧になりやすい生活習慣として、たくさん食べる、味付けが濃い、野菜や果物が少ない、運動しない、などがあります。 |
まとめ
高血圧症は三大生活習慣病のうち、心疾患と脳血管疾患の原因になり得る病気です。
高血圧は自覚症状も少なく、それ自体は特に困る事も無く過ごしてしまいがちですが、高血圧状態を続けていると、上記のような病気を引き起こしてしまうものなので、自覚症状が無いうちに対処をしておく必要があります。
高血圧に気付くためには、実際に血圧を測るしかありません。日常生活で血圧を測る機会はそう無いでしょうから、健康診断などで測った時には、数値を気にしておきましょう。
対策としましては、当たり前に言われている、水分を多く摂りましょう、野菜をたくさん食べましょう、塩分は控えめに、運動しましょう、肥満は良くない、ストレスも体に良くない、などの事を実践するだけですが、実践出来ていない人が多いからこそ、生活習慣病の人も多いのだと思います。
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