今回は第32回(令和元年)介護福祉士国家試験の問題を解答・解説していきたいと思います。
介護福祉士の試験は過去問をしっかりと解いて、分からないところや間違えたところをやっていけば、テキストを買わなくても、充分に合格が出来ると思います。
これから介護福祉士の試験を受けられる方は、合格に向けて、しっかりと過去問に触れていきましょう!
では、早速始めていきたいと思います。
人間の尊厳と自立
問題1
72歳から人工透析を受けている。
透析を始めた頃から死を意識するようになり、延命治療を選択する意思決定の計画書を作成していた。
しかし、最近では、最期の時を自宅で静かに過ごしたいと思い、以前の計画のままでよいか気持ちに迷いが出てきたので、訪問介護(ホームヘルプサービス)のサービス提供責任者に相談した。
サービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「この計画書は、医療職が作成するものですよ」
- 2「一度作成した計画書は、個人の意向で変更するのは難しいですよ」
- 3「意思確認のための話合いは、何度でもできますよ」
- 4「そんなに心配なら、特別養護老人ホームに入所できますよ」
- 5「この計画書は、在宅ではなく病院での治療を想定したものですよ」
解説:
1、介護の計画書ですから、介護職で作成しましょう。
2、計画書は本人の体調や目標、能力が変化したときには速やかに変更しましょう。
4、なんでもかんでも施設に入所させようとするのはやめましょう。
5、在宅での生活も病院での医療も想定しています。
問題2
- 1 インフォームドコンセント(informed consent)
- 2 ストレングス(strength)
- 3 パターナリズム(paternalism)
- 4 エンパワメント(empowerment)
- 5 アドボカシー(advocacy)
解説:
1、informedは「情報に基づく」、consentは「同意」という意味で合わせると情報に基づく同意、となります。
患者さんや家族が病状や治療について充分に理解し、医療側も患者さんやご家族の意向や状況、説明内容をどのように受け止めたか、どのような医療を選択するかを把握した上で、患者さん、ご家族、医療職、ケアマネ、介護職などが互いに情報を共有して皆で合意するのがインフォームドコンセントになります。
2、strengthは「力」という意味で、日本語で云うと強みが近いかと思います。
ストレングスとは利用者さんが持つ強みの事で、出来ない事ではなく出来ることにスポットを当てていこうという、介護の変化もここに現れています。
3、paternalismはラテン語の「pater」(父という意味)が語源となっていて父権主義、日本だと家父長制が近い意味になります。
強い立場にある者が弱い立場にある者の利益のためだと、本人の意志を無視して介入・干渉することを云います。
親が子供の事のために良かれと思って介入することに由来しています。
4、empowermentは権限を与える事という意味になりますが、介護ではより良い社会を築くために人々が協力して自分の事は自分の意思で決定しながら生きる力を身に付けていこうという考え方を云います。
だいぶ拡大解釈が入っているので、英語の意味から想定する事は難しいですね。
5、advocacyは擁護・代弁という意味です。介護・福祉では権利擁護という意味で使われています。
人間関係とコミュニケーション
問題3
- 1 自己の弱みより強みを重視する。
- 2 自己の感情の動きとその背景を洞察する。
- 3 自己の行動を主観的に分析する。
- 4 自己の私生活を打ち明ける。
- 5 自己の価値観を他者に合わせる。
感情の動きだけではなく、その背景を考える事で客観的に自分の考えを知ることが出来ます。
解説:
1、弱みも強みも同じように理解しましょう。
3、主観的にではなく、客観的に見て下さい。
4、それではただの暴露話です。
5、他者に合わせるのではなく、他者の価値観も理解して自分の価値観の幅を拡げましょう。
問題4
- 1 相手と視線が合わせられる位置で話す。
- 2 相手には座ってもらい,自分は立ったまま話す。
- 3 初対面のときから相手と密着した距離で話す。
- 4 相手の表情があまり見えない薄暗い場所で話す。
- 5 たくさんの人がいる,にぎやかな場所で話す。
相手の目を見て話しましょう。
解説:
2、上から見下されたら威圧感や見下された感が凄いでしょうね。
3、人にはそれぞれ個人の領域があります。そこにいきなり踏み込まれたら気持ち悪いでしょうね。適度な距離感が大切です。
4、密談するならそうかもしれませんが、いきなり話す前に薄暗い場所に連れていかれたら怖いですよ。
5、高齢者の方は耳が聴こえにくい方も多いのに、にぎやかな場所では余計に聴こえないでしょうね。
社会の理解
問題5
- 1 自助は、公的扶助を利用して、自ら生活を維持することをいう。
- 2 互助は、社会保険のように制度化された相互扶助をいう。
- 3 共助は、社会保障制度に含まれない。
- 4 共助は、近隣住民同士の支え合いをいう。
- 5 公助は、自助・互助・共助では対応できない生活困窮等に対応する。
自助、互助、共助で対応出来ないケースを助けるのが公助です。
解説:
1、公的扶助は公助です。
2、互助は個人間の助け合いで制度化されていないものです。
3、医療、年金、介護保険などが共助に当たるので社会保障制度に含まれます。
4、近隣住民同士の支え合いは互助になります。
問題6
- 1 長時間労働は日本社会の特質で、時間外労働の限度の設定は困難である。
- 2 有給休暇の取得よりも、働くことが優先される。
- 3 働く人々のニーズに応じた、多様な働き方を選択できる社会の実現を図る。
- 4 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の格差が存在することは、当然である。
- 5 「働き方改革」は、中小企業は対象でない。
(注) ここでいう「働き方改革」とは、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づく諸施策の実施のことである。
難しいとは思いますが、実現していきたいですね。特に介護で。
解説:
1、時間外労働の限度の上限は法律で設定されました。
2、これでは、ただのブラック企業ですね。
4、同じ労働に対しては同じ待遇が必要です。
5、中小企業ももちろん対象です。
問題7
- 1 介護支援専門員(ケアマネジャー)に、通所介護(デイサービス)の利用中止を依頼する。
- 2 介護支援専門員(ケアマネジャー)に、サービス担当者会議で利用中止の検討を依頼する。
- 3 福祉事務所に相談するように助言する。
- 4 これまでどおりの利用を説得する。
- 5 無料で利用できる地域の通所型サービスを探す。
貯金が少なくなり生活が苦しくなったのが問題なので、その問題を解決しないといけません。
解説:
1、デイサービスを中止しても根本的な問題の解決にはなりません。
2、1と同じでデイをやめても解決にはなりません。
4、説得してはいけません。
5、ケアマネージャーに相談無しで探すの良くないです。無料になった事で問題が解決するかどうかも分かりませんし。
問題8
- 1 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいものは、後期高齢者の保険料である。
- 2 社会保障給付費の財源では、税の占める割合が最も大きい。
- 3 生活保護費の財源内訳は、社会保険料と税である。
- 4 国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は、30%を超えている。
- 5 社会保障給付費の給付額では、医療費の構成割合が最も大きい。
年度によって差はありますが、30%は超えています。なんだかんだ言って日本は面倒見が良い国ですね。国の予算の3分の1ですからね。
解説:
1、公費が一番多いので違います。
2、社会保険料が一番多いので間違いです。
3、生活保護費には社会保険料は入っていないので間違いです。
5、給付額では年金の割合が一番大きいので間違いです。
問題9
- 1 加入は任意である。
- 2 第一号被保険者は、65 歳以上の者である。
- 3 第二号被保険者は、20 歳以上 65 歳未満の医療保険加入者である。
- 4 第一号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
- 5 第二号被保険者の保険料は、国が徴収する。
第一号被保険者は65歳以上の者です。
解説:
1、任意ではありません。40歳からの加入が義務付けられています。
3、第二号被保険者は40歳以上65歳未満です。
4、市町村と東京23区が主体となって徴収しています。
5、自身が加入している医療保険者が徴収して、そこから各市町村に納付されます。
問題10
- 1 家族介護支援事業
- 2 予防給付
- 3 介護給付
- 4 権利擁護事業
- 5 第一号訪問事業(訪問型サービス)
第一号訪問事業だけが、介護予防・日常生活支援総合事業に含まれます。
解説:
1、家族介護支援事業は市町村と地域包括支援センターがおこなう事業です。
2、3、総合事業の「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」は、介護給付も予防給付も対象外となるサービスです。
4、権利擁護事業は各市町村の社会福祉協議会が提供するサービスです。
問題11
- 1 厚生労働大臣は基本的な指針を定めなければならない。
- 2 都道府県による策定は努力義務である。
- 3 市町村による策定は努力義務である。
- 4 障害児福祉計画とは計画期間が異なっている。
- 5 文化芸術活動・スポーツの振興についての目標設定をしなければならない。
障害者総合支援法第87条に明記されています。
解説:
2、第八十九条に『都道府県は、基本指針に即して、市町村障害福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(以下「都道府県障害福祉計画」という。)を定めるものとする。』とあり、努力義務ではない。
3、第八十八条に『市町村は、基本指針に即して、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(以下「市町村障害福祉計画」という。)を定めるものとする。』とあり、努力義務ではない。
4、障害福祉計画と障害児福祉計画の計画期間は同じなので誤りです。
5、明記されていないので誤りです。
問題12
- 1 地域包括支援センターに相談する。
- 2 医師の診断書を居住する市町村に提出する。
- 3 障害福祉サービス(居宅介護)を提供している事業所と契約する。
- 4 居住する市町村の審査会に、障害福祉サービス(居宅介護)の利用を申し出る。
- 5 居住する市町村の担当窓口に、障害福祉サービス(居宅介護)の支給申請をする。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
介護認定の申請が必要なように、障害福祉サービスの支給にも申請が必要になります。障害福祉サービスの支給には市町村の障害福祉担当窓口への申請が必要になります。
解説:
1、地域包括支援センターは介護、医療、福祉などを担当しており、障害福祉サービスではありません。
2、診断書の提出は障害手帳の交付など、手続きで求められた時に提出する者で、最初の手続きではない。
3、事業所と契約する前に障害福祉サービスの支給申請を市町村の窓口で縞ければいけません。
4、審査会は申請後に支給の判定をおこなう機関で、利用申し出の窓口ではありません。
問題13
- 1 訪問看護
- 2 共同生活援助(グループホーム)
- 3 同行援護
- 4 通所介護(デイサービス)
- 5 通所リハビリテーション
解説:
共生型サービスは基本的には訪問介護、通所介護、短期入所生活介護施設が共生型サービス事業所として運営出来ます。
問題14
- 1 「決まりですから捨てますよ」
- 2 「読みたい雑誌はとっておきましょう」
- 3 「古紙として再生利用しますからね」
- 4 「Eさんにこの雑誌をあげるわけにはいかないんですよ」
- 5 「次の新しい雑誌がきますよ」
(注)「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
解説:
Eさんの気持ちに配慮した対応をしましょう。
問題15
- 1 「2018 年(平成 30 年)の全国統計」によれば、補助、保佐、後見のうち、最も多い申立ては後見である。
- 2 「2018 年(平成 30 年)の全国統計」によれば、親族後見人が 7 割を占めている。
- 3 成年後見人は、施設入所の契約だけでなく介護も行う。
- 4 任意後見制度では、候補者の中から家庭裁判所が成年後見人を選任する。
- 5 成年後見制度利用支援事業では、成年後見人への報酬は支払えない。
(注)「2018 年(平成 30 年)の全国統計」とは、「成年後見関係事件の概況-平成 30 年1 月~12 月-」(平成 31 年 3 月最高裁判所事務総局家庭局)のことである。
後見、補佐、補助の順番なので正しいです。
解説:
2、親族後見人は約26.2%なので、誤りです。
3、成年後見人は介護はおこないませんので、誤りです。
4、任意後見制度では、本人があらかじめ後見人を選任しておきます。
5、後見人等の報酬等の全部又は一部を補助する。とあるので、誤りです。
問題16
- 1 国の責任において保護を行う。
- 2 全ての国民に無差別平等な保護を行う。
- 3 健康で文化的な生活を維持できる保護を行う。
- 4 資産・能力等を活用した上で保護を行う。
- 5 個人または世帯の必要に応じて保護を行う。
「保護の補足性」は生活保護法第四条に記されています。
第四条の内容は『保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。』となっています。
解説:
1、第一条の(この法律の目的)の内容が近いかと思います。国が最低限度の生活を保証するとなっており、責任という言葉は見られませんが。
2、第二条の(無差別平等)の説明になります。
3、第三条の(最低生活)の説明になります。
5、第九条の(必要即応の原則)の説明になります。
介護の基本
問題17
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、夫 が散乱したコーヒー豆を片づけていた。
Fさんは、「わからなくなっちゃった」と言っていた。訪問介護員(ホームヘルパー)が夫に事情を聞くと、「今も日課でコーヒーを豆から挽いて入れてくれるんだが、最近は失敗することが多くなって、失敗すると自信を失ってしまうしね。
でも、毎朝、『コーヒーを入れなくちゃ』と言うんだ」と寂しそうに話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の夫への助言として、最も適切なものを 1 つ選びな さい。
- 1 「そばにいて、Fさんと一緒にコーヒーを入れてはどうですか」
- 2 「Fさんと一緒に、喫茶店にコーヒーを飲みに行ってはどうですか」
- 3 「おいしいコーヒーを買ってきて二人で飲んではどうですか」
- 4 「私がFさんからコーヒーの入れ方を教えてもらいましょうか」
- 5 「新しいコーヒーメーカーを買ってはどうですか」
利用者さんの日課を続ける事は大切なことですし、本人のやりたい事を続けていただくのも私たちの役割です。夫には一緒にコーヒーをいれていただき、気がついた事を教えてもらいながらコーヒーのいれ方を工夫していきましょう。
解説:
2、コーヒーを飲むのが日課なら、こちらでも良いのでしょうが、Fさんはコーヒーを入れるのが日課なので誤りです。
3、2と同じ理由で誤りです。
4、あなたが教えてもらってどうする。
5、認知症の方は、基本的には新しい事を始めるのは苦手で、今まで使っていたものを使い続ける方が上手くいくことが多いですね。ただ、夫が一緒にコーヒーをいれて見て、コーヒーメーカーが使いにくそうなのであれば、「新しいコーヒーメーカーを買ってみた。」と言って、Fさんに試していただくのはアリかと思います。ただ、その場合にも今まで使っていた物は保管しておいた方が良いと思います。使い慣れた物が良い可能性は高いので。
問題18
- 1 洗髪しやすいように、長い髪のカットを勧める。
- 2 共同生活のため、夕食は施設の時間に合わせてもらう。
- 3 落ち込んでいるため、居室での生活を中心に過ごしてもらう。
- 4 おしゃれをして、施設の俳句クラブに参加するように勧める。
- 5 転倒予防のため、車いすを使用してもらう。
ノーマライゼーション=誰もが平等に普通の生活をおくる権利があるという考え方です。もともとやっていたおしゃれや俳句を施設に入っても続ける事が普通の生活の継続になります。
解説:
1、洗髪しやすいように、は介護側の理由ですね。
2、普通の生活を考えると、もともと食べていた時間に食べていただくのが良い。ただ、施設で利用者さん全員に自分の食べたい時間に食事を提供するのは難しいと思います。
4、病気に対する受容を促すのも私たちの役割ですし、これが続くとうつや生活不活発病の危険もあります。
5、転倒予防は介護側の心配からでしょう。車椅子がGさんの希望ではなさそうですから誤りです。
問題19
- 1 電気スタンドをつけて、読書を楽しむ。
- 2 車いすを使用して、美術館に行く。
- 3 聴力が低下すると、コミュニケーションがうまくとれない。
- 4 ストレスが溜まると、活力が低下する。
- 5 床面の性状が柔らかいと、バランスを崩す。
ICFの分類には「健康状態」「心身状態・身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」があります。
床面の性状が環境、バランスを崩すが心身機能なので5が正解です。
解説:
1、電気スタンドは環境、読書を楽しむのが参加なので誤り。
2、車椅子は環境、美術館に行くのが参加なので誤りです。
3、聴力の低下は心身機能、コミュニケーションが上手くとれないのは活動なので誤りです。
4、ストレスは健康状態、活力が低下するのが心身状態なので誤りです。
問題20
20 年前に夫が亡くなった後は、ずっと一人暮らしをしている。これまでの生活を続けていきたいので、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することにした。
訪問介護員(ホームヘルパー)のHさんへの対応として、最も適切なものを 1 つ選 びなさい。
- 1 Hさんの意向を確認して、今までどおり畳で布団の使用を継続した。
- 2 入浴後、手ぬぐいで体を拭いていたが、バスタオルに変更した。
- 3 訪問介護員(ホームヘルパー)の判断で、食事の前にエプロンをつけた。
- 4 整理整頓のために、壁に立てかけてあった掃除機を押し入れに片づけた。
- 5 Hさんの気持ちを切り替えるために、家具の配置を換えた。
可能であれば、今までの生活を続ける事が大切です。
解説:
2、バスタオルに変更する必要性がないので誤りです。
3、訪問介護員だけの判断で勝手に変えないように。ご本人やケアマネさんと相談して必要であれば変更しましょう。
4、物の置き場を変えてしまうと使えなくなってしまうこともありますので誤りです。ご本人の生活に支障があるようなら検討してから片付けましょう。
5、4と同じで家具の配置を変えてしまうと、今まで出来ていた事が出来なくなる可能性がありますので誤りです。ご本人が気持ちを切り替えたい、と言われたらみんなで配置を考えましょう。
問題21
- 1 階段
- 2 台所・食堂
- 3 風呂場
- 4 トイレ
- 5 居室
解説:
「平成 30 年版高齢社会白書」(内閣府)によると、1番が居室、2番目が階段、3番目が台所・食堂、4番目が玄関、5番目が洗面所となっています。
問題22
- 1 テレビのニュースを見て、新しい出来事を覚えてもらう。
- 2 利用者それぞれの要求には応えられないので、同じ日課で過ごしてもらう。
- 3 利用者の、現在よりも過去の身体的・精神的状態の把握が優先される。
- 4 利用者の、なじみのある人や店との関係は継続していく。
- 5 環境に慣れるまでは、車いすでの移動を勧める。
住み慣れた町で馴染みの人と、今までと同じように生活を続けていける事が、介護の目指すところですね。
解説:
1、認知症の方の中には、新しいことを覚えるのが難しい方もいますので誤りです。
2、個別ケアが基本です。
3、過去はもちろん大切ですが、現在の状態が分からないと適切なケアが出来ず、目標も立てられません。
5、特に移動能力に問題はなさそうなので、車椅子を使用する必要はないので誤りです。
問題23
- 1 利用者の生活課題に沿って、居宅サービス計画書を作成する。
- 2 具体的な援助目標及び援助内容を記載した訪問介護計画書を作成する。
- 3 利用者の要望に応じて、他の事業所との利用調整を行う。
- 4 判断能力が十分でない人に対して、日常的な金銭管理を行う。
- 5 居宅サービス事業者を招集して、サービス担当者会議を開催する。
サービス提供責任者は訪問介護計画書を作成します。
解説:
1、居宅サービス計画書を作成するのは介護支援専門員なので誤りです。
3、他の事業所との利用調整はケアマネジャーがおこないますので誤りです。
4、日常的な金銭管理をおこなうのは危険です。成年後見人制度等を利用しましょう。
5、サービス担当者会議の開催はケアマネジャーが主となっておこなうので誤りです。
問題24
- 1 医師が多職種連携の中心となる介護実践のことである。
- 2 民生委員やボランティアは、多職種連携のチームから除かれる。
- 3 医療と介護の連携とは、利用者の体調不良時に医療機関を受診させることを指す。
- 4 要介護度の改善を優先して、多職種連携によるケアプランを作成する。
- 5 利用者のケアの方向性に関する情報を共有して、課題の解決に取り組む。
目指す方向性と情報を共有する事が大切です。
解説:
1、中心は利用者さんなので誤りです。
2、民生委員やボランティアさんも立派な地域資源です。
3、体調不良の時に限定はされないので誤りです。
4、要介護度の改善も重要ですが、一番大切なのは「住み慣れた地域でその人らしく生きていくこと」を目指してケアプランを作成することです。
問題25
- 1 介護の技術が伴わなくても、利用者の要望を最優先に実施した。
- 2 利用者が求めた医行為は、実施が可能である。
- 3 個人情報の取扱いについて、利用者に説明して同意を得た。
- 4 暴力をふるう利用者を自室から出られないようにした。
- 5 業務が忙しかったので、施設の廊下で職員同士の打合せを行った。
個人情報の取り扱いについては、本人への説明と同意が必ず必要なので正しいです。
解説:
1、介護技術がともなわないのは、介護福祉職として駄目でしょう。
2、介護福祉職が医療行為をおこなうのは法律違反です。
4、暴力をふるったとしても部屋に閉じ込めることは身体拘束になり虐待とみなされる可能性もあります。誤りです。
5、本人や他の人に話を聞かれる恐れがあり、個人情報の取り扱いとして誤りです。
問題26
- 1 入所者全員の保菌の有無を調べる。
- 2 接触感染予防策を実施する。
- 3 保菌者のレクリエーションへの参加を制限する。
- 4 保菌者は最初に入浴する。
- 5 通常用いられる消毒薬は無効である。
MRSAなどの細菌の陽性者は、保菌者と発症者に分けられます。保菌者は体の中に菌を保有していますが、感染症状は無く、一般的には感染性は低いとされています。
発症者は、排菌量が多く感染性が高いとされる。
MRSAは主に接触感染する事が多いと言われています。
解説:
1、保菌状態では感染性は低いので、保菌者全員を調べる必要はないので誤りです。
3、MRSAの保菌者は健常者と同じように日常生活を送る事が出来るので誤りです。
4、一般的に入浴で感染することはないので、最初に入浴する必要はないので誤りです。
5、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなど消毒液は効果があるので誤りです。
コミュニケーション技術
問題27
- 1 利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。
- 2 うなずきやあいづちを用いて、利用者の話を促す。
- 3 利用者が話した内容を、整理して伝える。
- 4 利用者が話した内容を、別の言葉を使って簡潔に返す。
- 5 「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問をする。
「直面化」というのを初めて聞いたので、消去法で1になりました。
「直面化」とは、相手に問題は何かに気づいてもらえるように促す、カウンセリングのコミュニケーション技法。
「直面化」という言葉を知らないと難しい問題でした。
ただ、直面化という技法を正しく理解していないと、伝え方によっては相手にダメージを与えそうです。
解説:
2、「うなずき」や「あいづち」は「受容」や「共感」にあたります。なので誤り。
3、相手が話した内容を整理して伝えるのは「要約」にあたります。なので誤り。
4、別の言葉を使って簡潔に返すのは「言い換え」にあたります。なので誤りです。
5、「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問は「閉ざされた質問」にあたります。なので誤りです。
問題28
- 1 考え方を変えるように促す。
- 2 早く元気を出すように励ます。
- 3 意欲が自然に回復するまで待つ。
- 4 意欲低下の背景を考える。
- 5 自己決定してもらうのは避ける。
意欲低下の原因を理解して、一つひとつ原因を解決していくのが大切だと思います。
解説:
1、自分の事で考えてもらったら分かると思いますが、考え方を変えるには非常に大きなエネルギーが必要です。意欲の無い状態で、そのエネルギーを求めるのは難しいでしょう。
2、悪く無いように思えますが、励まされる事でなんとかしなきゃ、と負担に感じるケースや、頑張っているのにこれ以上頑張れと言うのか!と言う気持ちになるケースもあるので誤りです。
3、待っていて回復すれば良いですが、おそらく待っているだけでは原因が解決されないので、意欲低下も解決しないと思います。なので誤りです。
5、自己決定せずに、他人が決めた事に従っているだけだと、無力感や自己否定からますます意欲が低下する恐れがあります。なので誤り。
問題29
- 1 閉じられた質問の活用を控える。
- 2 聞き取れないところは、再度言ってもらう。
- 3 はっきりと発音するように促す。
- 4 耳元で大きな声で話しかける。
- 5 筆談の活用を控える。
もう1回言ってもらう事で聞き取れる事もあります。ただし、何度も聞き返すのはやめましょう。伝わらない苛立ちを感じてしまう事になります。
構音障害とは、正しく発音出来ない状態のことを言います。
なので、話す事に問題が出てきますが、聞く、書く、読む事には問題はありません。
構音障害には大きく分けて2つあります。①機能性構音障害と②運動性構音障害がそれです。運動性構音障害は口、舌、喉などが上手く動かせなくなる事によって起こります。機能性構音障害は上記の器官に問題が無いのに、上手く音を出す事が出来ない場合を言います。
解説:
1、「はい」や「いいえ」の短い言葉で答えられる、「閉じられた質問」は構音障害の人でも答えやすいのでむしろ使った方が良いです。なので誤りです。
3、はっきりと発音出来ないのが構音障害です。出来ないことをやれと言われたらしんどいですよね。なので誤りです。
4、これは聴力に問題がある人への対応ですね。なので誤りです。
5、読む、書く能力には問題ないので、有効な手段となります。なので誤りです。
問題30
- 1 挨拶するときは後ろから声をかける。
- 2 話しかけることは最小限にとどめる。
- 3 聴覚,触覚,嗅覚を活用する。
- 4 声の強弱などの準言語の活用は控える。
- 5 方向を示すときは「あちら」「そちら」と表現する。
聴覚、触覚、嗅覚など他の情報から伝えていくと伝わりやすいです。
解説:
1、私たちもそうですが、いきなり後ろから声をかけられたら驚きます。声をかけるときは正面からでしょうね。
2、音から情報を集めて周囲の状況を確認しているので、積極的に声はかけた方が良いです。なので誤りです。
4、視覚障害者の方は、声の強弱や準言語から相手の気持ちや状態を判断しているので、使った方が良いです。なので誤りです。
5、あちらそちらでは伝わらないので、右、左、正面など具体的に伝えた方が良い。なので誤りです。
次の事例を読んで、問題 31、問題 32 について答えなさい。
〔事 例〕
Jさん(20 歳、男性)は、中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、 2 か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。また、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。
ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩いた。介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。
問題31
- 1 「人を叩くのは許されません」
- 2 「相手の気持ちを想像しましょう」
- 3 「自分のしたことを反省しましょう」
- 4 「ここで話をしましょう」
- 5 「なぜ叩いてしまったのですか」
私はあっさり5にひっかかりました。
なぜ個室に連れて来られたのか混乱してしまう可能性があるので、まずは個室に来てもらった理由を説明する必要がある。
分かりますが、もう少し優しく声かけしましょうよ。問題文だと怖い感じがして選べませんでした。(はい、言い訳です。)
解説:
1、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断するは難しい、とあるので許されませんと言われても理解するのは難しいでしょう。なので誤りです。
2、他者の感情を読み取ることは苦手、とあるので相手の気持ちを想像することは難しいと思われます。なので誤りです。
3、抽象的な言葉の理解が苦手です。自分のしたこと、は抽象的な表現なので、他の利用者を叩いた事など具体的に伝える必要があります。なので誤りです。
5、質問自体は悪くありませんが、もし、いきなり個室に連れて来られて混乱いていたら、そもそも駄目なので、まずは個室に連れてきた理由の説明、これからおこなうことの説明が先になります。
問題32
- 1 叱ることは正しいと支持する。
- 2 家族の対応は間違っていると否定する。
- 3 Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。
- 4 家族の対応には介入せずに黙認する。
- 5 介護福祉職の指示どおりに対応するように伝える。
ここでは肯定も否定もしないのが正解です。なぜ叩いたのか理由も状況もわからない状態で正しい、間違っている、とは言えないですよね。
そもそも、叱る事が正しいか間違っているかなんて簡単には決められない事です。
解説:
1、叱る事が正しいかどうかは分かりません。なので誤りです。
2、叱ってしまうご家族の気持ちも充分に理解出来ます。それを否定することは出来ませんので、誤りです。
4、イライラした口調で叱った、とある事からご家族のストレスが伺えます。介入せず黙認するのではなく、ご家族様のストレスを軽減できるように介入しましょう。
5、自己決定の原則。アドバイスは出来ますが、決定事項を指示してその通りにやらせる事は介護の理念にも反します。あくまでも決定するのはご本人とご家族です。
次の事例を読んで、問題 33、問題 34 について答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(80 歳、男性)は、中等度の認知症(dementia)があり、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居中である。16 時頃、KさんがL介護福祉職に、「仕事は終わりました。家に帰ります」と伝えてきた。その後、L介護福祉職がKさんの居室を訪問すると、Kさんは、「早く家に帰らなくては…」と言いながらタンスから衣類を取り出していた。
問題33
- 1 衣類をタンスへ戻すように促す。
- 2 居室から出ないようにお願いする。
- 3 ここに入居したことを覚えていないのかと質問する。
- 4 ここは仕事場ではないことを説明する。
- 5 挨拶しながら表情や行動を観察する。
まずはここからですね。話をしながら分かってくる情報もありますので、しっかりと状態の観察をする事が大切です。
解説:
1、いきなりタンスに衣類を戻すように言われても。まずはなぜ衣類を取り出しているのか、理由を聞くところから始めましょう。いきなり戻すように言われても、戻してはもらえないでしょうね。
2、居室から出ないように、と言うのは行動制限で身体拘束にあたります。やってはいけません。
3、認知症の方に覚えていないのかと聞く職員には、逆に認知症がどんな症状か覚えてないのか、と尋ねたいです。入居していると聞いて余計に混乱してしまう可能性もありますので誤りです。
4、入居している、仕事場ではないなど相手を否定する対応は不適切です。相手の世界観を理解して、気持ちに共感しましょう。
問題34
- 1 16 時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。
- 2 自宅のことが心配になって「家に帰る」という発言があった。
- 3 不安時に無断外出が心配されるため、様子の観察が必要と考える。
- 4 認知症(dementia)が悪化し、ここがどこなのかを理解していないようだ。
- 5 帰宅願望があったが、特に問題はなかった。
実際にあった事をそのまま記録してあるので、これが正しいです。
解説:
2、自宅の事が心配になって、とは一言も言っていないので客観的事実ではない。
3、完全に介護者の想像と想像による考えなので誤りです。
4、認知症が悪化した、と言うのは根拠がなく、理解してないようだ、と想像しているだけ。なので誤りです。
5、ご本人が仕事場にいると思っていた事、タンスから衣類を取り出していた事などが記載されておらず、起こった事が伝わっていない。なので誤りです。
生活支援技術
問題35
- 1 家具には、キャスターをつける。
- 2 書棚の上部には、重い物を収納する。
- 3 食器棚は、ガラス扉を外す。
- 4 外への避難経路は、玄関の 1 方向とする。
- 5 非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。
訪問介護員がというより、災害時の基本知識という感じですよね。
解説:
1、キャスターがついていると、地震の揺れで家具が動いたり、倒れやすくなるので危険です。なので誤りです。
2、上に重い物をおくと重心が高くなり、倒れやすくなります。さらに上から重たい物が落ちてくる危険もあるので誤りです。
3、ガラス扉を外してしまうと、中の食器が飛び出して床に破片が散らばる危険がありますので誤りです。
4、玄関から避難出来ない可能性もあるので、避難経路は複数想定しておいた方が良いです。なので誤りです。
問題36
- 1 開き戸は、自動ドアに変更できる。
- 2 和式便器の上に、腰掛け便座を設置できる。
- 3 滑りにくい床材に変更できる。
- 4 取り外しが可能な手すりを設置できる。
- 5 現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。
床材がすべりやすく、転倒の危険がある場合、住宅改修を利用して床材をすべりにくいものに変更出来ます。
解説:
1、自動ドアへの変更は出来ません。なので誤りです。開き戸を引き戸に変える事は出来ます。
2、腰掛便座は福祉用具の購入になりますので誤りです。和式便器から洋式便器に取り換えるのは住宅改修で出来ます。
4、手すりは固定式のみ住宅改修で可能です。なので誤りです。
5、和式便器から洋式便器に変更する事は出来ますが、洋式便器に洗浄機能を付け加える事は出来ません。
問題37
- 1 高齢者が優先的に使用できる。
- 2 使い方を統一する。
- 3 情報伝達の手段は一つにする。
- 4 使用するためには訓練が必要である。
- 5 誰にでも使える大きさと広さが確保されている。
原則7の使用のためのスペースにあたります。
ユニバーサルデザイン:適応や特別な設計を必要とせずに、可能な限りすべての人が使用できる製品と環境の設計。
・原則1:公平な使用
このデザインは、さまざまな能力を持つ人々にとって有用であり、市場性があります。
・原則2:使用の柔軟性
この設計は、幅広い個人の好みや能力に対応します。
・原則3:シンプルで直感的な使用
デザインの使用は、ユーザーエクスペリエンス、知識、言語スキル、または現在の集中レベルに関係なく、理解しやすいものです。
・原則4:知覚可能な情報
このデザインは、周囲の状況やユーザーの感覚能力に関係なく、必要な情報をユーザーに効果的に伝達します。
・原則5:エラーへの耐性
設計は、偶発的または意図しない行動の危険性と悪影響を最小限に抑えます。
・原則6:低い物理的労力
この設計は、効率的かつ快適に、最小限の疲労で使用できます。
・原則7:アプローチと使用のためのサイズとスペース
ユーザーの体のサイズ、姿勢、または可動性に関係なく、アプローチ、リーチ、操作、および使用のために適切なサイズとスペースが提供されます。
解説:
1、高齢者だけではなく、誰もが公平に使えなければなりません。なので誤りです。
2、使う人によって様々な使い方が出来ないといけませんので誤りです。
3、必要な情報をあらゆる人に伝えるために、絵、文字、色、光など様々な方法で伝えなければならない。なので誤り。
4、誰もが直感的に使えるものではなければならないので誤りです。
問題38
- 1 着替えができない理由を本人に確認する。
- 2 左右がわかるように衣類に印をつける。
- 3 着衣の前に全ての手順を口頭で指示する。
- 4 衣服を畳んで渡す。
- 5 着衣の方法を毎回変えるように勧める。
失行とは:麻痺などの運動障害は無く、言われた事も理解しているにもかかわらず、日常生活でおこなっている動作がうまく出来なくなる事。
交通事故サポートセンターより引用
解説:
1、方法や手順が分からなくなってしまう症状なので、着替えが出来ない理由を本人に聞くと、さらに混乱される可能性もあります。なので誤りです。
3、言葉や記憶にも障害がある事があり、口頭での説明だけでは難しい場合があります。紙に文字として書いてゆっくり見られるなどの工夫が必要になります。その時に絵や図を入れるなどすると分かりやすくなります。なので誤りです。
4、畳んで渡してしまうと、上下や左右が分からなくなってしまう事がありますので、対応としては誤りです。
5、毎回方法を変えてしまうとますます出来なくなってしまう可能性があります。方法を統一して繰り返しおこなっていきましょう。
問題39
- 1 手指の細かな動作が難しい利用者に、マグネット式のボタンを勧める。
- 2 認知症(dementia)のある利用者に、ボタンエイドの使用を勧める。
- 3 下肢の筋力低下のある利用者に、立位で更衣をするように勧める。
- 4 視覚障害のある利用者に、ソックスエイドの使用を勧める。
- 5 片麻痺のある利用者に、袖ぐりの小さい上衣を勧める。
ボタンを穴に通すのは、細かな動作が難しい方には難易度が高いと思います。マグネット式にする事でご自分で着替えが出来る可能性があります。
解説:
2、ボタンエイドはボタン穴に通して、ボタンにひっかけて、そのまま引っ張り出す、という動作が必要となります。認知症の方の中には難しすぎる作業になる人もいると思いますので誤りです。
3、下肢筋力低下のある人が立位で更衣をおこなうと転倒の危険が高まります。なので誤りです。
4、ソックスエイドは前に屈むことが難しい、腰痛の方や妊婦さんなどが屈まずに靴下を履く事が出来るものです。視覚障害があっても靴下は履けますので適当ではありません。
5、片麻痺のある人も、片側では細かい動作がしにくくなる事があります。袖ぐりが小さいとそれだけ通すのが難しくなるので、袖ぐりは大きい方が着やすいと思います。なので誤りです。
問題40
- 1 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、洗面時の関節可動域の制限を改善する。
- 2 支援相談員は、着脱に使用する福祉用具を選定する。
- 3 栄養士は、破損した義歯を修復する。
- 4 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)に伴う管理が必要な利用者の爪切りを行う。
- 5 理学療法士は、身体状況に合わせて衣類を作り直す。
糖尿病の利用者は小さな傷でも感染症になる可能性が高いので、
解説:
1、関節可動域の制限を改善するのは、理学療法士がおこないます。
2、支援相談員の仕事は、相談援助です。なので誤りです。
3、破損した義歯を修復するのは、歯科技工士さんの役割です。
5、衣類を作り直すのは家族や介護職の役割です。
問題41
- 1 移乗の目的を説明して同意を得る。
- 2 移乗の方法を説明する。
- 3 衣服を着替えてもらう。
- 4 車いすを介護しやすい位置に調整する。
- 5 ベッドの高さを調節する。
移乗だけではなく、全ての援助で説明と同意無しには援助はおこなえません。
解説:
2、まずは説明と同意からです。なので誤りです。
3、移乗の目的は書かれていないので、必ずしも着替えをおこなう必要はないと思われます。なので誤りです。
4、車いすの位置を調整するのは、説明と同意を得て、さらに本人の状態を移乗出来るような体勢に介助してからでよいでしょう。
5、ベッドの高さを調整するのはほぼ最終段階です。なので誤りです。
問題42
- 1 左前方へのふらつき
- 2 右前方へのふらつき
- 3 左後方へのふらつき
- 4 後方へのふらつき
- 5 右後方へのふらつき
解説:
重心線という言葉が分かりづらいですが、図の左足と右足の重心(中心と言い換えると分かり易いかと)が点Xです。
重心が点Yの地点に移動するという事は、点Yの地点が左足と右足の重心(中心)になります。
点Yが中心になるためには、右足は右斜め前方にないといけません。そのため、右足が右斜め前方に出ようとするのでその方向にバランスを崩すと考えられます。
1から5の中で、一番可能性が高いのは右前方へのふらつきです。なのでこの中では2が適切だと思われます。
問題43
- 1 手すりが利用者の右側になるように声をかける。
- 2 階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。
- 3 階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。
- 4 階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。
- 5 階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。
右片麻痺の方は、右側に力が入りにくいので右側へ倒れる可能性が高いので、介助者は倒れる可能性が高い方に立ち、支えられるようにします。
解説:
1、手すりが右側になると、手すりがしっかり使えません。左手側に手すりが来るように立っていただきましょう。
2、前方は手をついたり出来ますが、後方に倒れると支えが何も無く危険です。力の入りにくい右側の後方に立って介助しましょう。
3、階段を登る時には、先に出した足で全体重を移動させなければなりません。力の入りにくい右足では全体重を持ち上げて移動させるのは難しいでしょう。なので誤りです。
5、3とは反対に降りる時には残った方の足で全体重を支えなららバランスを取らないといけませんので、右足から出すのが正しいです。
問題44
介護福祉職が食事バランスガイドを用いて摂取を勧める区分として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 主食
- 2 副菜
- 3 主菜
- 4 牛乳・乳製品
- 5 果物
栄養素の働きは大きく三つに分けられます。
①エネルギーになるもの
②身体をつくるもの
③身体の調子を整えるもの
「最近、歩くのが遅くなり、疲れやすくなった」と言われているので、筋力の低下が考えられます。
この事例の方の場合、筋肉を作るために必要な、タンパク質を多く含む肉や魚、卵が多く摂れる主菜が望ましいです。
ちなみに、下の図が食事バランスガイドの図になります。
農林水産省公式ホームページより引用
解説:
1、お茶漬けやうどんは主食になるので、これは充分に摂れています。
2、野菜も必要な栄養素が多いですが、この事例の方には主菜の方がより適切です。
4、この方はカルシウム不足とは言われていませんので、まずは主菜からススメましょう。
5、この方にとっては、主菜よりも優先順位が低いので誤りです。
問題45
- 1 顎を上げてもらう。
- 2 テーブルは、肘がつき腕が自由に動かせるものを用意する。
- 3 テーブルと体の間を 30 cm 離す。
- 4 体幹を後方に傾けてもらう。
- 5 いすに浅く座ってもらう。
肘が自由に動く事で、手も自由になり食べやすくなります。
解説:
1、救命処置でも習いましたが、アゴを上げると気道を確保してしまうので、むせやすくなります。なので誤りです。嚥下を促すためにも、少しアゴを引いたくらいが良いでしょう。
3、30cmを想像してください。おそらく手を伸ばさないと食事に手が届かないくらいになるでしょう。食べにく過ぎるので誤りです。
4、単純に食べにくそうです。どちらかというと腹筋を鍛える姿勢。少し前屈みになるくらいの姿勢が望ましいです。なので誤り。
5、食事がメインなので、食べやすい姿勢をとります。しっかり深く座り、膝が大体90度で足の裏がしっかり地面についた安楽な座位姿勢をとっていただきましょう。
問題46
- 1 骨粗鬆症(osteoporosis)の予防として、ビタミンD(vitamin D)の摂取を勧める。
- 2 高血圧症(hypertension)の予防として、果物の摂取を控える。
- 3 便秘の予防として、水分摂取を控える。
- 4 ドライマウス(dry mouth)の予防として、柔らかい食物を勧める。
- 5 逆流性食道炎(reflux esophagitis)の予防として、食後すぐに横になる。
骨粗鬆症といえばカルシウムが一番最初に思いつきますが、ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きを持っていますので、骨粗鬆症の方には重要な栄養素です。
解説:
2、高血圧症の予防としては塩分摂取を控える事が大切です。
腎不全の方は、腎機能が低下しカリウムを排出する機能が落ちて、高カリウム血症になりやすいので、果物の摂取を控えた方が良いです。
高カリウム血症は不整脈や脱力感、嘔吐などの症状をもたらす事があります。
3、水分不足は便秘の原因になりますので誤りです。
4、よく噛んで食べる事で唾液の分泌を促し、ドライマウスの予防になりますので、柔らかい食事よりしっかり噛んで食べる食事の方が予防としては適しています。なので誤りです。
5、名前の通り逆流してきますので、横になってしまうと逆流しやすい状態になってしまいます。なので誤り。
食後2時間ほど身体を起こしておく方が望ましいです。
問題47
- 1 利用者の左側にトレー(tray)を置く。
- 2 トレー(tray)の右側に印をつける。
- 3 クロックポジションに従って配膳する。
- 4 食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。
- 5 利用者の右側にあるテレビをつけておく。
観察をおこなう事で、どの辺りまで認識出来ているか、どの位置が食べやすいのかなどが分かってきます。
解説:
1、左が認識出来ないので、左に置いたら食べられません。なので誤りです。
2、印をつけるのなら、認識しにくい左側につけましょう。右は認識出来ています。
3、これは目が見えない方への対応です。
5、これも2と同じで、認識を促すためにテレビをつけるのであれば、左側にテレビがないと駄目ですね。左側に注意喚起したい訳ですから。
問題48
- 1 目のまわりは目尻から目頭に向かって拭く。
- 2 背部は患側を下にして拭く。
- 3 腹部は臍部から恥骨部に向かって拭く。
- 4 両下肢は 末 梢 から中枢に向かって拭く。
- 5 皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。
足の拭き方としては、足首から太ももに向けて拭いていきます。そこからくるぶし、かかと、足の裏、指の間と拭いていきます。
解説:
1、目頭から目尻に向かって拭いていきます。
2、患側は上にします。
3、腹部はおへそからのの字に拭いていきます。
5、水分が残っていると気化する時に熱を奪われるので寒さを感じます。なので皮膚についた水分はすぐに拭きましょう。
問題49
- 1 血液透析を受けている人は、透析直後に入浴する。
- 2 胃ろうを造設している人は、入浴を控える。
- 3 心臓機能障害がある人は、半身浴にする。
- 4 酸素療法を行っている人は、鼻カニューレを外して入浴する。
- 5 回腸ストーマを造設している人は、食後 1 時間以内に入浴する。
心臓機能に障害のある方は、入浴時の水圧にも影響を受けますので、半身浴が望ましいです。
解説:
1、透析後は血圧が下がる事が多いので、原則として透析後に入浴する事は禁止されています。感染の危険もあります。
2、胃ロウを造設していても、普通に入浴できます。
4、入浴中は酸素が多く必要なので、外してはいけません。
5、回腸ストーマでは食直後から排便が見られる事がありますので、食後2時間以上経った後など排便のない時間を選びます。
問題50
- 1 A
- 2 B
- 3 C
- 4 D
- 5 E
ベッド柵が健側にあり、向きを変えるときの距離も短いので、最小限の動きで移乗が出来ます。
解説:
1、排便もするのに、顔の横にトイレって置きませんよね。この位置だとお尻の向きを帰る時に手を離すか、反対周りに足の踏み換えをする必要が出てくるため、不適切です。
3、そもそもポータブルに行くのに移乗だけではなく歩行が必要となるので安全ではないですね。新手のリハビリでしょうか?
4、ベッド柵が健側にないので適切ではありません。
5、ベッド柵が患側側です。顔の近くにトイレを置く事も不適切です。
問題51
- 1 水分摂取を控えてもらう。
- 2 カテーテルが折れていないことを確認する。
- 3 採尿バッグは膀胱と同じ高さに置く。
- 4 尿漏れが見られたらカテーテルを抜去する。
- 5 尿量の確認は看護師に依頼する。
カテーテルが折れてしまうと、尿が流れなくなりカテーテルが詰まってしまう可能性があります。
解説:
1、医師からの水分を控えるようにいう指示がない限り、充分な水分補給が必要です。水分が減ると尿量が減って尿が濃くなったり濁ったりしやすくなります。そうするとカテーテルが詰まりやすくなります。脱水症状を起こす危険もありますので誤りです。
3、尿が逆流する可能性があるので誤りです。水と同じで高いところから低いところに流れていきます。
4、カテーテルの抜去や挿入は医療行為にあたりますので、介護福祉職ではおこなえません。なので誤りです。
5、尿量の確認は医療行為ではないので、介護福祉職でもおこなえます。
問題52
- 1 挿入時は仰臥位(背臥位)で膝を伸ばす。
- 2 挿入時は腹式呼吸を促す。
- 3 坐薬(座薬)はとがっていない方から挿入する。
- 4 挿入後は坐薬(座薬)が排出されないことを確認する。
- 5 衣服を整えてから手袋を外す。
答えは4です。
しっかり挿肛出来ていないと、座薬が出てきてしまう事があります。
解説:
1、仰臥位で膝を伸ばしていると肛門部が見えないので、膝を曲げて側臥位など肛門部が見えやすい姿勢が良い。
2、腹式呼吸だと腹圧がかかって、外肛門括約筋が緊張するので誤り
です。
3、座薬は尖っている方から挿肛します。
5、座薬を入れる事で手袋は汚染してしまいますので、衣類を整える前に外します。
問題53
- 1 ウエルシュ菌
- 2 カンピロバクター
- 3 サルモネラ菌
- 4 腸炎ビブリオ
- 5 黄色ブドウ球菌
肉や魚を使った煮込み料理での食中毒の原因菌になりやすいです。
酸素が少ない環境を好む菌で、カレーやシチューは要注意です。
解説:
2、カンピロバクターは色んな動物が持っている菌ですが、通常の加熱調理で死滅しますので誤りです。
3、卵とその加工品、生肉やスッポンなどに多い菌です。
こちらも、75℃で1分以上の通常調理で死滅すると言われていますので誤りです。
4、主に魚介類や海水に多くいる菌です。
真水に弱い菌で、60℃10分間の加熱で死滅する菌なので、カレーにいる可能性は低いので誤りです。
5、人の手指や皮膚に生息している菌で、傷口には特に多くいます。
黄色ブドウ球菌は菌が死滅しても毒素が残るのが厄介なところで、その毒素であるエンテロトキシンは100℃30分の加熱でも無毒化されません。
細菌とウイルスの違い
・細菌
細菌は細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物です。一つの細胞しか無いので単細胞生物です。
大きさは、通常1mmの1/1000の単位【μm(マイクロメートル)】が用いられます。細菌は光学顕微鏡で見ることができます。
糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、生きた細胞がなくても自分自身で増殖できます。
例外はありますが、一般的にペニシリンなどの抗生物質(細菌の細胞などを攻撃することができる薬)が有効です。
抗生物質は、多細胞生物である生物が真核細胞(遺伝子が膜で覆われている)であるのに対し、細菌が原核細胞(遺伝子が膜で覆われていない)であるため、その異なる性質を利用して細菌にだけに効くようにした薬です。
・ウイルス
ウイルスは、蛋白質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。
大きさは、細菌よりもはるかに小さく、μmの更に1/1000の単位【nm(ナノメートル)】が用いられます。ウイルスを見るには電子顕微鏡が必要です。
細胞を宿主にするため、ウイルスがより小さいのは当然です。
たとえ栄養と水があったとしても、細菌とは異なり、ウイルス単独では生存できません。ウイルスは、自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞の中でしか増殖できませんので、他の生物を宿主にして自己を複製することでのみ増殖します。
ウイルスが感染した細胞は、ウイルスが増殖して多量のウイルスが細胞外に出てくるため死滅します。そして、その増殖したウイルスがまた他の細胞に入り込んで増殖を続けます。そのため、宿主の細胞が次々と死滅してゆくことで生物は耐えることができずに死亡に至るわけです。すなわち、ウイルスにとって、他の個体へ感染させ続けることが生き残るための必須条件です。感染力はウイルスにより異なります。
抗生物質は効力はありません。一部インフルエンザウイルスなどに有効な抗ウイルス剤(ウイルスの増殖を抑制する薬)があります。
ワクチンは、無毒化したウイルスを体内に入れて免疫力を高め、実際に感染したときに急激にウイルスが増殖することを抑えます。
株式会社 東邦微生物病研究所公式ホームページより引用
食中毒の原因菌
名前 | 原因食品 | 潜伏期間 | 感染経路 | 症状 | 予防ポイント |
腸炎ビブリオ | 魚介類 刺身、 寿司 |
8から24時間 | 海水中に生息。 真水や酸に弱い。 |
腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐 | 魚介類は新鮮な物でも真水でよく洗う。 短時間でも冷蔵庫に保存し増殖を抑える。60℃10分間の加熱で死滅。 |
サルモネラ属菌 | 鶏卵、 食肉、 うなぎ、 スッポン、 乾燥イカ |
6から72時間 (菌によって異なる) |
動物の腸管、 自然界に広く分布。 生肉、 特に鶏肉と卵を汚染する事が多い。 乾燥に強い。 |
激しい腹痛、 下痢、 発熱、 嘔吐 |
肉・卵は十分に加熱する。 (75℃以上で1分以上) 卵の生食は新鮮な物に限る。 卵や生肉は10℃以下(出来れば4℃以下)の低温管理。 |
O−157 腸管出血性大腸菌 その他の病原性大腸菌 |
加工食品、水耕野菜、井戸水 | 数日 その他の病原性大腸菌は、 1から数日。 |
熱、 消毒剤に弱い。 |
腹痛、 下痢、 発熱、 嘔吐 ※O-157では、 「ベロ毒素」という強力な毒素が大腸の血管壁を破壊し、鮮血混じりの血便が出る。 溶血性尿毒症で死亡することがある。 |
他の細菌性食中毒と同様に調理器具、 |
カンピロバクター属菌 | 食肉 (特に鶏肉) 飲料水、 生野菜など |
1から7日 | 家畜、 家きん類の腸管内に生息し、 食肉 (特に鶏肉)、 臓器や飲料水を汚染する。 乾燥にきわめて弱く、また通常の加熱調理で死滅する。 |
発熱、 倦怠感、 頭痛、 吐き気、 腹痛、 下痢、 血便など |
調理器具を熱湯消毒し、 |
黄色ブドウ球菌 | 乳・乳製品 (牛乳・クリームなど) 卵製品、 畜産製品(肉・ハムなど)、 穀類とその加工品 (握り飯、弁当) 魚肉ねり製品 (ちくわ、かまぼこなど)、 和洋生菓子 など手作りの物に多い。 |
1から3時間 | 人や動物に常在する。 毒素 (エンテロトキシン) を生成する。 毒素は100℃、 30分の加熱でも無毒化されない。 |
吐き気、 嘔吐、 腹痛、 下痢。 |
指手の洗浄、 |
セレウス菌 | 嘔吐型: ピラフ、 スパゲッティ 下痢型: |
嘔吐型: 30分から 6時間 下痢型: |
土壌などの自然界に広く生息する。 毒素を生成する。 芽胞は90℃、 60分の加熱でも死滅せず、 家庭用消毒薬も無効。 |
嘔吐型: 嘔吐、 吐き気 下痢型: |
米飯や麺類を作り置きしない。 |
ボツリヌス菌 |
缶詰、 乳児ボツリヌス症: |
8から6時間 | 土壌中や河川、 動物の腸管など自然界に広く生息する。 酸素のないところで増殖し、 熱にきわめて強い芽胞を作る。 毒性の強い神経毒を作る。 毒素の無害化には、80℃で30分間の加熱を要する。 |
吐き気、 嘔吐、 筋力低下、 脱力感、 便秘、 神経症状 (複視などの視力障害、発声困難、呼吸困難など) |
発生は少ないが、 |
ノロウイルス | 二枚貝 (カキ、 ハマグリなど) 患者の糞便、 嘔吐物など |
1から3日 | 10月から4月にかけ集中発生。 食品中では増殖せず、 人の腸内のみで増殖。 少量で感染し、 感染力が強い。 |
下痢、 吐き気、 腹痛、 発熱 (38℃以下) 通常3日以内で回復 |
手洗いの励行食材の加熱(85から90℃、 |
問題54
- 1 嘔吐物を拭き取ったペーパータオルはごみ箱に捨てる。
- 2 汚染された部分にアルコールを噴霧する。
- 3 汚染された部分を強くもみ洗いする。
- 4 嘔吐物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム溶液につける。
- 5 40°Cの湯で洗濯する。
ノロウイルスには塩素系消毒薬が有効と言われています。他には熱湯による食毒という方法もあります。
衣類の場合、色落ちもあるので方法を選択して下さい。 ノロウイルスの対応をする時には、エプロンとマスク、手袋、靴カバー、帽子などを使用して、出来る限り露出部分を少なくしてウイルスや飛沫が直接つかないようにして、使用した物品から二次感染しないように注意する必要があります。
解説:
1、ペーパータオルをゴミ箱に捨ててしまうと乾燥したノロウイルスが空中をフワフワと漂ってしまい、それが口に入って感染する事もあります。
乾かないうちに拭き取ってビニールの袋などに入れて口をしっかり閉じましょう。
その後の、換気も大切です。
2、アルコール除菌も効果が全く無いという訳では内容ですが、塩素系消毒液の効果が明らかなので、こちらを使用して下さい。
ただし、漂白剤と同じで色落ちはありますので、それが嫌な場合は熱湯で煮沸消毒するという方法もあるにはあります。
3、もみ洗いをすると二次感染の危険があります。2と同じく塩素系消毒液か煮沸消毒した後に洗濯をしましょう。
5、40℃ではノロウイルスを死滅できません。85℃から90℃以上の熱湯である必要があると言われていますので、誤りです。
問題55
一人暮らしで、介護保険サービスを利用している。
訪問介護員 (ホームヘルパー)が訪問したときに、物品売買契約書を見つけた。
Aさんは、「昨日、訪問販売の業者が来た」「契約書については覚えていない」と話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)から連絡を受けたサービス提供責任者が、迅速にクーリング・オフの手続きを相談する相手として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 行政書士
- 2 消費生活センター
- 3 家庭裁判所
- 4 保健所
- 5 相談支援事業所
消費生活センターは、事業者に対する消費者の苦情を聞いたり、相談をおこなう地方公共団体が設置する機関です。
解説:
1、行政書士は、官公署に提出する許認可などの申請書類の作成・提出手続きの代理などをおこなう専門職です。
3、家庭裁判所は、家庭に関する事件の審判や、少年の保護事件の審判などの権限を有する日本の裁判所です。
4、保健所は、保健・衛生・生活環境等の公衆衛生の向上・増進を図るための機関です。
5、相談支援業務は、障害福祉サービス等を申請した障害者(児)に対して、サービス等利用計画の作成やモニタリングをおこなう事業です。
問題56
- 1 起床時に日光を浴びるように勧める。
- 2 日中、長い昼寝をするように勧める。
- 3 夕食後 2 時間以内に就寝するように勧める。
- 4 寝る前に緑茶を飲むように勧める。
- 5 決まった就床時刻を守るように勧める。
起きた時に日光を浴びると、脳内でセロトニンという覚醒を促すホルモンが分泌され、体内時計を整える効果があります。
睡眠とは関係ないようにも思えますが、体内時計を整える事で朝起きて夜寝るというリズムに戻す事が期待できます。
私たちもやった方が良いですね。
解説:
2、日中に長い昼寝をしてしまうと生活リズムが崩れてしまいます。
私たちでも昼寝すると夜寝られない事がありますよね。
3、食事をとってすぐは、体が消化吸収に集中しているので眠りが浅くなりやすいです。少なくとも3時間以上はあけるのが望ましいと言われています。
4、緑茶にはカフェインが含まれていて、カフェインには覚醒作用がありますので、就寝前に摂るのは眠れない原因になりかねません。
5、就寝時間を決めたからといって寝られる訳ではないでしょう。眠れない原因と眠れるような対策が大切です。あとは言い方によっては命令に聞こえそうです。親が子供に言ってそうな言い方ですね。
問題57
- 1 湿度は 20%以下に設定する。
- 2 寝衣は、体に密着した形のものを選ぶ。
- 3 冷暖房の風が、体に直接当たるようにする。
- 4 夜間の照明は、部屋全体がはっきり見える明るさにする。
- 5 介護福祉職同士の会話が響かないようにする。
話し声が聞こえていたら、気になるしうるさくて眠れませんよね。同じ理由から足音や物音にも気をつけましょう。夜は思っている以上に音が響きますので。
解説:
1、快適な湿度は、40から60%と言われており、40%以下になると目や喉の乾燥を感じるようになります。乾燥してくるとインフルエンザウイルスなどの活動が活発になってくる、とも言われていますので乾燥には注意しましょう。
2、ぴったりした服だと動きづらかったり、苦しかったりしますし、通気性も悪くなりますので汗もかきやすくなってしまいます。
ゆとりのある服の方が眠りには良いでしょう。
3、冷暖房の風が直接当たると、喉や皮膚が乾燥しますし、何より暑すぎたり寒くなったりしますので、安眠は出来ません。
4、部屋が明るすぎると眠りが浅くなってしまいます。間接照明や足元だけを照らすような照明を使用するのが良いです。
問題58
- 1 アルコールと一緒に服用してもらった。
- 2 服用後、1 時間は起きているように伝えた。
- 3 日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。
- 4 通常の量では眠れないと言われたので、追加して飲むように伝えた。
- 5 体調に合わせて服薬時間を変更した。
解説:
1、肝臓の働きに障害が起こったり、酩酊状態になったり、逆に薬の副作用を引き起こしてしまったり、お互いに悪影響を及ぼしますので、アルコールと睡眠薬を併用してはいけません。
睡眠薬じゃなくて普通のお薬でも、アルコールと飲まないように言われます。
2、1時間起きている根拠が分かりません。そもそも飲んでから1時間起きてないといけないのなら、飲む時間を睡眠の1時間前にする必要があるでしょう。
あと、「起きているように」は言い方が悪い。
4、お薬、しかも睡眠薬の量を勝手に変更するのはかなり危険です。お薬の変更はまず医師に相談してください。
5、4と同じく飲む時間も医師によって決められたものなので、時間を変更する場合も医師に相談してください。
問題59
終末期で、「最期はこの施設で迎えたい」という本人の希望があり、家族もそれを望んでいる。
昨日から死前喘鳴が出現し、医師から、「あと数日でしょう」と言われた。
「呼吸が苦しそうだ」と言っている家族への介護として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 「自然な経過なので体位の工夫をして一緒に見守りましょう」
- 2 「Bさんに意識はないので心配いらないですよ」
- 3 「痰の吸引をすると楽になるので準備しますね」
- 4 「Bさんを励ましてください」
- 5 「すぐに救急車を呼びましょう」
医師から、あと数日でしょうと言われており、死前喘鳴は自然な経過です。ご家族にも自然な経過であることをお伝えして、少しでも楽な体位になってもらい、ご家族に見守ってもらいましょう。
解説:
2、死前喘鳴があるからといって、意識がないかどうかは分かりません。また、呼吸が苦しそうだと言っているご家族に対して何の説明もなく心配いらないですよ、と言っても不安は取り除けません。
ご本人の苦痛とご家族の不安を取り除くためのケアを考えましょう。
3、死前喘鳴の場合、痰は吸引出来ない事も多く、吸引をおこなう事で余計に呼吸が苦しくなってしまう場合もあります。どうしても吸引が必要だと思ったら、まずは医師に相談しましょう。
4、これから自然に死に向かっていく人に対して、励ますのは適切ではありません。その方の最期を見守っていただくのが、適切でしょう。
5、最期はこの施設で迎えたいという希望がありますので、施設の中で安楽に最期を迎えていただけるようケアをおこないましょう。救急車を呼ぶ事で苦痛が増えてしまう可能性もあります。
問題60
- 1 ペースメーカーを取り除く。
- 2 口が閉じない場合は紐で顎を固定する。
- 3 衣服は着衣がしやすい服を選ぶ。
- 4 全身清拭には水を使用する。
- 5 家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。
ご家族の中でも、死亡後の介護を一緒におこないたい方と、おこないたくない方がいらっしゃいます。介護福祉職が一方的に誰がと決めるのではなく、意思を確認する事が大切です。
解説:
1、ペースメーカーを取り除くことは、死亡後であっても介護福祉職には出来ません。
2、紐で顎を固定することは、故人や家族に対して失礼です。死後硬直の前でしたら、枕を高くすることで自然に口が閉じる事もあるようです。
3、着衣しやすい服ではなく、故人が好んで着ていた衣類やご家族が用意された衣類に着替える事が一般的です。
4、水ではなく、温めのお湯やアルコール、温めのお湯にアルコールを入れた物で清拭します。身体を清めるという意味合いと排泄物や吐物からの感染予防の意味もありますので、アルコールを使用する事もあります。
介護過程
問題 61
- 1 利用者の価値観を変える。
- 2 利用者の療養上の世話をする。
- 3 利用者の経済的負担を軽減する。
- 4 利用者の望んでいる、よりよい生活を実現する。
- 5 利用者の生活習慣を改善する。
介護過程の目的は、利用者さんの望む、よりよい生活、よりよい人生の実現を支援する事です。
解説:
1、利用者さんの価値観は尊重してください。
変えるものではありません。
2、療養上の世話は医療の役割になります。
3、よりよい生活のために、経済的負担を軽減する事が必要になることはあるかもしれませんが、経済的負担を軽減する事自体が、介護過程の目的ではありません。
5、目的を達成するために、生活習慣を改善する必要がある場合はありますが、生活習慣を改善すること自体が介護過程の目的ではありません。
問題 62
- 1 抽出されたニーズを踏まえて目標を設定する。
- 2 内容が明確であれば支援方法の記載は省略する。
- 3 支援方法は「~させる」と使役文で記載する。
- 4 利用者の正しい理解を促すために専門用語を用いる。
- 5 計画の見直しの時期は決めない。
介護計画はアセスメントによって抽出された、「生活全般の解決すべき課題」を解決するために作成していきます。
解説:
2、内容が明確であっても、支援方法の記載がなければ正しく伝わらない可能性があります。介護計画はご本人やご家族、他職種の人も見るものなので詳細に記載してください。
3、介護計画は利用者さんが主体なので、語尾も主体的な表現にしてください。そもそも、利用者さんを使役してはいけません。
4、専門用語を使ってしまうと、専門の人しかわからなくなってしまいます。ご本人やご家族など介護の専門家ではない人も見るものなので、専門用語ではなく、分かりやすい言葉を使いましょう。
5、介護計画では、支援の期間や見直しの時期を決めておく必要があります。その見直しと評価で、新たなニーズや問題、それに対する支援が必要になる事があるからです。
問題 63
- 1 介護福祉職の価値観に沿って実施する。
- 2 実施した状況は客観的に記録する。
- 3 計画の内容は実施の直前に家族に伝える。
- 4 他職種への経過報告は目標の達成後に行う。
- 5 利用者の満足度よりも目標の達成を優先する。
主観では無く客観的に分かりやすく記録する事を心がける必要があります。客観的に分かりやすく記録する事で、情報を共有して分析する事ができます。
解説:
1、介護福祉職の価値観ではなく、利用者さんの価値観やアセスメントに沿って作成します。
3、実施の直前ではなく、介護計画を作成したらご本人とご家族に内容を説明して、理解と同意を得ておく必要があります。直前だと内容に同意を得られないまま実施する事になりかねません。もしくは実施出来ないか。
4、目標の達成後にも経過報告は必要ですが、それ以外にも体調や能力の変化があった時や定期的な経過報告は必要となります。
5、満足度も目標の達成もどちらも大事です。
次の事例を読んで、問題 64、問題 65 について答えなさい。
〔事 例〕
Cさん(75 歳、男性、要介護 1 )は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症した。2 か月前から在宅復帰を目的として介護老人保健施設に入所している。次女は遠方から時々面会に来ているが、長女とは音信不通の状態が続いている。
Cさんは現在、右片麻痺で歩行には杖を使用している。担当の理学療法士から、「レクリエーションには積極的に参加するなど意欲はあるが、歩行状態が思うように改善しないと悩んでいた」との報告があった。
その後、歩行訓練やレクリエーションに参加しなくなり、居室のベッドで寝て過ごすことが多くなった。また、時々尿失禁をするようになった。
Cさんは、「自宅に帰りたいのに、このまま車いすになったらどうしよう」と担当の介護福祉職に打ち明けた。
問題 64
- 1 長女から入所前の情報を収集する。
- 2 現状を再アセスメントし,生活課題を抽出する。
- 3 自宅に戻った後の介護計画を立案する。
- 4 尿失禁に対応する介護計画の実施を優先する。
- 5 介護計画の最終的な評価は理学療法士が担当する。
状態が変わってきたら、介護計画を変更する必要があります。再度アセスメントをおこない、新たな生活課題を設定して介護計画を作成します。
解説:
1、長女は音信不通で、その理由もわからないので、連絡が取れるかどうかも不明。もし、連絡が取れたとしても音信不通だった人が入所前に関わりがあったかも分からない。
3、自宅に戻った後の介護計画ではなく、自宅に戻るための介護計画を立案する必要があります。
4、尿失禁への対応を優先するのが誤りです。Cさんは、「このまま車いすになったらどうしよう。」と不安に思っているので、そこへの対応が優先となります。
5、理学療法士からの評価も大切ですが、介護計画は介護福祉職や医療職、福祉用具など関わっている人すべての評価が大切です。
問題 65
- 1 車いすの使用方法を理解する。
- 2 居室のベッドで安静に過ごす。
- 3 次女との同居を実現する。
- 4 今まで以上に,意欲的に歩行訓練に取り組む。
- 5 居室を出てレクリエーションに参加する。
短期目標は身近で具体的な事から初めていきます。まずは歩行訓練やレクリエーションに参加して、ベッドで寝ている事が多くなった生活を改善します。
解説:
1、車いすになったらどうしようと不安になっているCさんに、車いすの使用をすすめるのは誤りです。
2、ベッドで寝て過ごす事が多くなった事による、能力の低下が心配されています。この状態で安静をすすめると、さらに能力が低下してしまう恐れがあります。
3、ご本人、次女さん共に同居への希望があるかどうか不明です。この状態で同居をすすめるのは誤りです。
4、歩行訓練やレクリエーションに参加されず、ベッドで寝て過ごされる事が多くなっている時に、いきなり意欲的になって下さい、というのは難しいでしょう。やるのであれば短期目標=レクリエーションに参加、長期目標で=意欲的に歩行訓練に取り組む、でしょうかね。
次の事例を読んで、問題 66、問題 67 について答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(77 歳、男性、要介護 2 )は、妻と二人で暮らしている。定年まで、高校の体育の教師で野球部の監督をしていた。起居動作に問題はないが、認知症(dementia)と診断されたため、現在、通所介護(デイサービス)を週 3 回利用している。通所介護(デイサービス)では、短期目標を「役割を持ち意欲的に生活する( 3 か月)」と設定し、体操を指導する役割をお願いしていた。
実施 1 か月が経過した頃、テレビで高校野球を見たDさんは暗い表情で、「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と嘆いていた。この日は、担当の介護福祉職が体操の指導をお願いしても、「今すぐ行かなければ」と断った。
問題 66
- 1 介護福祉職に依頼されたため。
- 2 妻に会いに自宅に帰りたいため。
- 3 高校野球のことが気になっているため。
- 4 立ち上がり動作が不安定なため。
- 5 体育の授業を行うため。
テレビで高校野球を見てから、暗い表情で嘆いておられ「生徒を全国大会に連れて行けなかったのは私の責任だ」と言われている事から、この可能性が一番高いと思われます。
解説:
1、介護福祉職とのエピソードが何も無く、今までは体操の指導をしてくれていた事から考えて、可能性は低いと思われます。
2、「いますぐ行かなければ。」と言って断られているので、可能性は0ではありませんが、かなり低いと思われる。
4、起居動作に問題はないと書かれていますので、この可能性は考えにくいです。
5、これも無いとは言えませんが、体育の話は出ていなかったの可能性は低いでしょう。
問題 67
Dさんが今後も現在の役割を継続するために、優先して取り組むべき課題として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 体操に対する関心を取り戻すこと。
- 2 体操の内容を変更すること。
- 3 体操を指導する自信を回復すること。
- 4 体操の正しい順番を学び直すこと。
- 5 指摘した参加者に謝ること。
遠くから体操の様子を眺めている事から、意欲は失っていないと思われます。体操の順番が違うと指摘されてから指導されなくなっているので、指摘によって自信を失くしてしまったと考えられます。
解説:
1、遠くから様子を眺めている事から、気にはなっていると思われます。なので誤りです。
2、体操の内容で意欲を失った可能性は低いので、内容を変更しても効果は薄いでしょう。なので誤り。
4、指摘された時以外は、体操の指導をおこなえていたご様子なので、順番を変えても意欲は戻らないと考えられます。逆に順番を変える事で、ますます体操の指導に自信が無くなる可能性もあります。
5、指摘した人に謝る事は、人間関係的には必要かもしれませんが、自信の回復にはむしろ逆効果かもしれません。
問題 68
介護福祉職は介護福祉職間のカンファレンス(conference)でEさんの思いを共有した。Eさんの思いとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 農業に関わっていきたい。
- 2 家事に専念したい。
- 3 後継者の育成に関わりたい。
- 4 家でのんびりしたい。
- 5 料理の自信をつけたい。
「料理は苦手」「野菜を近所に配るとみんな喜ぶのよ。」と言われている事から家事よりも野菜の方に関心がある事が分かります。夫から家事に専念しなさいと言われている事から、農業に関わる事を遠慮しているご様子も伺えます。
解説:
2、料理は苦手と言われている事から、専念したいという思いだとは考えにくい。うつむきながら「家事に専念しなさいと言われているから」と言っている事からも、あまり前向きな発言では無いと思われます。
3、そもそも後継者の話が出ていないので可能性は低いでしょう。
4、これも同じくご本人の発言が無いので、こういった思いがあるのか無いのかも分かりません。想像だけになっているので誤りです。
5、これは思っているかもしれませんが、料理の自信をつける事と収穫の楽しさや野菜を配って喜ばれる事では、後者の方にやりがいを感じておられると思います。
発達と老化の理解
問題 69
前方から父親の友人がやってきて、父親がにこやかに友人と話をしていると、Aちゃんは父親にしがみつき、父親の顔と父親の友人の顔を交互に見ている。
しばらくすると、Aちゃんは緊張が解けた様子で、友人が立ち去るときには少し笑顔を見せた。
Aちゃんの様子を説明する用語として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 3 か月微笑
- 2 社会的参照
- 3 クーイング
- 4 自己中心性
- 5 二項関係
社会的参照とは、問題解決場面や、行動選択場面において、自分だけでは意志決定や行動選択がしにくい時に周りの人の表情や態度、反応をみて行動を決定するような現象のことを言います。
父親がにこやかに話しているのを見て、笑顔を見せる、という行動をとったと考えられます。
解説:
1、赤ちゃんは生後3~4ヶ月頃になると、誰に対してでも笑顔を見せるようになります。これを「社会的微笑」(無差別的微笑)とも言います。
生後3ヶ月ごろから見られるため、「3ヶ月微笑」とも言われます。
この後に「社会的微笑」(差別的微笑)が見られるようになりますが、こちらは人や顔を認識できるようになって、見慣れない顔には反応しなくなっていき、日常的に見る顔(主に親など)にしか反応しなくなっていきます。いわゆる「人見知り」をしだすのがこの頃になります。
3、赤ちゃんが、「あー」とか「うー」と声を出す事を言います。舌や唇を使わなくても出せる母音一音だけを使う声を出します。
クーイングは別名「プレジャーサイン」とも呼ばれていて、赤ちゃんが「自分の口から音が出る事を発見して遊んでいる」とも考えられています。
4、ジャン・ピアジェが乳幼児期の精神構造や思考の特徴を表すのに用いた言葉。事象を自分の立場あるいは一つの視点からしか分析・認識できない、視点を変えたり視点と視点の関係をとらえたりする事ができないという時期の特性を表しています。
5、二項関係とは、赤ちゃんの発達段階の情報伝達構造をあらわします。赤ちゃん⇄お母さん、赤ちゃん⇄犬、赤ちゃん⇄他人など、二つのものの間でしか関係が成り立たない状態の事。
この問題では、Aちゃん、父親、父親の友人の3人がいて、父親と父親の友人の顔を交互に見て情報を収集している様子が見られる事から、様子を説明する用語としては三項関係が適切と思われるので誤りです。
問題 70
- 1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、高年齢者を 75 歳以上としている。
- 2 「高齢者虐待防止法」では、高齢者を 65 歳以上としている。
- 3 高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者を 65 歳以上としている。
- 4 道路交通法では、免許証の更新の特例がある高齢運転者を 60 歳以上としている。
- 5 老人福祉法では、高齢者を 55 歳以上としている。
(注)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。
「高齢者虐待防止法」では、高齢者を 65 歳以上と定めています。
虐待の種類としては、「身体的虐待」「心理的虐待」「経済的虐待」「性的虐待」「介護放棄等(ネグレクト)」があります。
解説:
1、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、高年齢者を 55歳以上と定めています。
3、高齢者の医療の確保に関する法律では、後期高齢者を 75 歳以上と定めています。65歳から74歳の「前期高齢者」と両方覚えておきましょう。
4、道路交通法では、免許証の更新の特例がある高齢運転者を 70 歳以上と定めています。
免許更新時に講習を受ける義務や高齢運転者標識の貼り付け努力義務等があります。近年問題になっている高齢者ドライバーへの対応ですね。
5、老人福祉法では、高齢者を 65 歳以上と定められています。
高齢者虐待防止法と同じだと覚えておきましょう。そうすると両方とも覚えられます。
問題 71
- 1 舌骨の位置の上昇
- 2 咽頭の位置の上昇
- 3 舌骨上筋の増大
- 4 喉頭挙上の不足
- 5 咳嗽反射の増強
喉頭が挙上している時の舌根部は、食塊を咽頭に送り込みやすいように下方に押し下がり、舌根とともに気管の入り口にある喉頭蓋も下がって、気管の入り口を塞ぎます。さらに次の瞬間、反射運動として食道の入り口が開き、喉頭蓋の上、あるいは左右の両脇を通過してきた食塊が食道に運ばれていきます。
嚥下機能の中でも重要な働きですから、これが不足すると嚥下機能は低下します。
解説:
1、舌骨は舌の土台となっており、舌骨に繋がった筋肉の動きで舌が動きます。
舌尖が持ち上がり食塊が咽頭に達すると、舌骨が持ち上げられ同時に喉頭も上前方に持ち上げられ喉頭蓋が下がり気管の入口をふさぎます。これが咽頭期の動きになります。
舌骨の位置が下がると嚥下機能の低下に繋がる可能性がありますが、上がるのは正常な動きに近いので嚥下機能が下がる可能性は低いと思われます。
2、1と同じく咽頭も上がるのが正常な動きなので、嚥下機能が下がる可能性は低いと考えられます。なので誤り。
3、顎二腹筋、茎状舌骨筋、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋の四つを合わせて舌骨上筋群と呼ばれています。
これらの筋肉が舌骨を動かして、その動きで舌が動くという仕組みになっています。なので舌骨上筋が増大すれば、舌を動かす力が強くなるので嚥下機能は改善されると思われるので誤りです。
5、咳嗽反射とは、気管や気道内に入り込む分泌物や異物を気道外に排除するための生体防御反応のこと。なので増強すれば嚥下機能は上昇したと言えます。
問題 72
- 1 自分の若い頃の記憶では、40 歳代の頃の出来事をよく覚えている。
- 2 数字の逆唱課題で答えられる数字の個数は、加齢による影響を受けない。
- 3 複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する。
- 4 騒がしい場所での作業効率は、若年者より高齢者が高い。
- 5 エピソード記憶は、加齢による影響を受けない。
記憶に関する問題です。
記憶の分類としては、保持時間に基づく記憶の分類である、心理学的分類の短期記憶と長期記憶、臨床神経学的分類の即時記憶、近時記憶、遠隔記憶などがあります。
また、内容に基づく記憶の分類として、エピソード記憶や意味記憶、手続き記憶などが挙げられます。
加齢による影響を受け易い、受けにくいはありますが、基本的には記憶は加齢の影響を受けると言われています。
解説:
1、人によって覚えてる時期は違うので、40歳代の頃の出来事をよく覚えているとは言えません。なので誤りです。
2、数字の逆唱課題をおこなうには、ワーキングメモリー(作業記憶)が必要だと言われています。ワーキングメモリーは加齢の影響を受けますので誤りです。
4、騒がしい場所で作業をするには、集中と複数の事を同時におこなう能力などが必要になりますが、どちらも加齢により能力が低下していきますので、若年者より高齢者の方が作業効率が高い、という事は考えにくいです。
5、エピソード記憶とは、ご飯を食べた事や家族が遊びに来た事、といった記憶になります。介護をされていれば経験があると思いますが、ご飯の事や誰かにあった事などは、いわゆる物忘れとしてよく見かけるものだと思います。
問題 73
高齢者において、心不全(heart failure)が進行したときに現れる症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 安静にすることで速やかに息切れが治まる。
- 2 運動によって呼吸苦が軽減する。
- 3 チアノーゼ(cyanosis)が生じる。
- 4 呼吸苦は、座位より仰臥位(背臥位)の方が軽減する。
- 5 下肢に限局した浮腫が生じる。
チアノーゼとは、口唇や四肢末梢などの皮膚や粘膜が青紫色になる状態のことです。低酸素血症や末梢循環不全などが原因であらわれます。
心不全は、心臓のポンプ機能が病気など何らかの理由で正常に機能しなくなっている状態なので、血液や酸素の供給が上手く出来なくなってしまいます。その結果、チアノーゼを起こしてしまう、という仕組みになります。
心不全の症状としては、急性心不全の場合、短期間のうちに激しい呼吸困難や胸の痛み、動悸、咳き込みなどが現れ、顔面や手足が蒼白したり、寒気を感じたりする、重症だと意識障害が出る等があります。
慢性心不全の場合、日常から軽度の症状として、呼吸困難や息切れ、咳き込み、疲れやすさ、手足の冷え、動悸、足のむくみなどがあります。
解説:
1、安静にする事で息切れが治るのは間違っていませんが、安静にしたからといって速やかに治るものではありません。なので誤りです。
2、運動や作業をする事によって呼吸苦が生じて来ますので誤りです。
4、呼吸は肺の動きによっておこなわれます。座位になると横隔膜が下に下がり、肺が大きく膨らむので自然に空気を取り込みやすくなり、呼吸がしやすくなります。呼吸がしやすくなれば呼吸苦も軽減しますので誤りとなります。
5、座ったり立ったりして身体を起こしていると、水分は下に行くので下肢にむくみが出やすくなりますが、限局して生じる訳ではありませんので誤りです。
問題 74
Bさん(82 歳、男性)は脳卒中(stroke)による右片麻痺がある。
ほとんどベッド上の生活で、排泄もおむつを使用している。一週間前から咳と鼻汁があり、37.2℃の微熱で、元気がなく、いつもよりも動きが少なかった。
食欲も低下して食事を残すようになっていた。
今日、おむつの交換をしたときに仙骨部の皮膚が赤くなり一部に水疱ができていた。
Bさんの皮膚の状態とその対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 圧迫によって血流が悪くなったためである。
- 2 仙骨部にこうしたことが起こるのは、まれである。
- 3 食事量の低下とは無関係である。
- 4 体位変換は、できるだけ避ける。
- 5 おむつの交換は、できるだけ控える。
圧迫される事で血液の流れが悪くなり、赤みになったり褥瘡になったりする原因になります。
この事例の方も赤みのうちに対策しておかないと、褥瘡になる危険があります。
解説:
2、仰臥位が長いと、仙骨部や肩甲骨、後頭部など骨が出っ張ったところは圧がかかり易いので、血行も悪くなり赤くなったり褥瘡になったりする事が多いです。なので誤りです。
3、栄養状態や酸素供給が悪化すると、赤くなったり、褥瘡になったりする原因ともなるので誤りです。
4、同じ場所に圧がかかり続けると血行不良になり易いので、体位交換などをおこなって同じ場所に圧がかからないようにするのが正しいです。
5、皮膚の状態を清潔に保ったり、サラッとした状態を保つ事が、赤くなる事や褥瘡への予防となりますので、おむつ交換は通常通りおこないましょう。
問題 75
次のうち、高齢者の栄養状態を良好に維持するための対応として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 歯科健康診査を受ける。
- 2 複数の薬剤を併用する。
- 3 外出を控える。
- 4 一人で食事をする。
- 5 たんぱく質を制限する。
食事を美味しく食べるには、歯が健康でなければいけません。虫歯や歯周病があると痛みで食事が食べられなくなったりします。
歯科では噛む事や飲み込む事など嚥下機能についての相談も出来ますので、栄養状態を良い状態に保つ対応として適切です。
解説:
2 複数の薬を飲む事と栄養状態を良好に保つ事には直接の因果関係はありません。むしろ、複数の薬を併用して飲むと強い副作用が起こる可能性が高くなるとも言われており、その結果体調不良となり栄養状態が悪くなる可能性もあります。
また薬の強い成分が胃を荒らして食欲が無くなったり、吸収が悪くなったりする事で栄養状態が悪くなることも考えられます。
3 運動をしないとお腹が空かないので食事を食べられなくなります。食事が食べられないと栄養状態も悪くしまうので誤り。精神状態を良好に保つためにも外出は重要です。精神状態が悪いと食欲もなくなるでしょう。
4 一人で食事をすると自分の好きな物ばかりを食べてしまい栄養に偏りが出てしまいます。食事を楽しむためにも家族や友人などと一緒に食事をするのが望ましいです。
5 タンパク質は身体を作る重要な栄養素です。これを制限してしまうと栄養状態は悪化してしまうので誤りです。
問題 76
- 1 看護師は、糖尿病(diabetes mellitus)の薬の処方箋を交付する。
- 2 理学療法士は、糖尿病(diabetes mellitus)の食事メニューを考える。
- 3 管理栄養士は、自宅で料理ができるような作業訓練をする。
- 4 訪問介護員(ホームヘルパー)は、居宅サービス計画を立案する。
- 5 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、訪問リハビリテーションの利用を提案する。
それぞれの専門職の役割を問う問題です。
ケアマネは本人の意向やアセスメントに基づいて、サービスの提案をおこないます。
解説:
1、薬の処方を交付するのは、医師の役割です。なので誤りです。
2、糖尿病の食事メニューを考えるのは、管理栄養士の役割なので誤りです。
3、自宅で料理ができるような作業訓練をするのは、作業療法士(OT)の役割です。なので誤り。
4、居宅サービス計画を立案するのは、ケアマネの役割なので誤り。
認知症の理解
問題 77
- 1 162 万人 約 400 万人
- 2 262 万人 約 500 万人
- 3 362 万人 約 600 万人
- 4 462 万人 約 700 万人
- 5 562 万人 約 800 万人
(注) 平成 37 年とは令和 7 年のことである。
内閣府公式ホームページ「平成29年版高齢社会白書」(概要版)より引用
問題 78
- 1 トイレの水を流すことができない。
- 2 物事の計画を立てることができない。
- 3 言葉を発することができない。
- 4 親しい人がわからない。
- 5 昼夜逆転が生じる。
昼夜逆転は周辺症状の睡眠障害にあたりますので、これが正解です。
認知症の中核症状と周辺症状に関する問題です。
脳の細胞が死ぬ、脳の働きが低下する事によって、直接的に起こるのが中核症状です。
中核症状には記憶障害、見当識障害、理解。判断力の低下、実行機能障害、失行・失語・失認などがあります。
周辺症状には、妄想、抑うつ、興奮、徘徊、不眠、幻覚、意欲の低下などがあります。
解説:
1、日常的におこなっていた動作や物の操作が運動機能の障害がないにもかかわらずおこなえなくなるのが失行です。失行は認知症の中核症状なので誤りです。
2、物事をおこなう時に計画を立て、順序立てて効率良くおこなうのが実行機能になります。実行機能障害は中核症状なので誤り。
3、言葉を発する事ができなくなるのは失語です。失語は中核症状なので3も誤りです。
4、相手と自分との関係性が分からなくなってしまうのは、見当識障害です。見当識障害は中核障害なのでこれも誤りです。
問題 79
- 1 薬剤によって生じることがある。
- 2 症状の変動は少ない。
- 3 意識レベルは清明であることが多い。
- 4 徐々に悪化する場合が多い。
- 5 幻覚を伴うことは少ない。
せん妄に関する問題です。
せん妄は薬剤によって生じることがあるので、1が正解です。
せん妄とは、突然発生して変動する精神機能の障害で、通常は回復可能です。注意力および思考力の低下、見当識障害、覚醒(意識)レベルの変動を特徴とします。
多くの病気、薬剤、毒物などが、せん妄の原因になりえます。
診断は症状と身体診察の結果に基づいて下され、原因を特定するために血液検査、尿検査、画像検査を行います。
せん妄は通常、原因になっている異常を迅速に処置または治療することで治癒します。
多くの病気、薬剤、毒物などが、せん妄の原因になりえます。
診断は症状と身体診察の結果に基づいて下され、原因を特定するために血液検査、尿検査、画像検査を行います。
せん妄は通常、原因になっている異常を迅速に処置または治療することで治癒します。
MSDマニュアル家庭版より引用
解説:
2、せん妄は手術後に突然発症したり、夕方から夜間にかけて突然発症したり、急激な変化があることが特徴になっていますので誤りです。
3、意識レベルの変動を伴いますので、これは誤りです。
4、急激に悪化することが多いので誤り。
5、妄想や幻覚、幻聴を伴うことがあるので誤りです。
問題 80
- 1 血管性認知症(vascular dementia)では、幻視が認められる。
- 2 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)では、歩行障害が認められる。
- 3 前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)では、エピソード記憶の障害が認められる。
- 4 アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)では、失禁が認められる。
- 5 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)では、もの盗とられ妄想が認められる。
認知症を引き起こす代表的な病気に関する問題です。
歩行障害は正常圧水頭症の代表的な症状です。
アルツハイマー病:
日本人はアルツハイマー病が最も多く6割以上を占めている。アルツハイマー病は、脳にアミロイドβやタウタンパクと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、神経細胞が死んで減っていくために、神経伝達ができなくなると考えられています。脳の中でも記憶を司る「海馬」の脳神経細胞が減るので、初期はもの忘れ(記憶障害)が目立ち、「空間的見当識障害(道に迷う)」や「多動(徘徊を繰り返す)」が現れることもある。現在、アルツハイマー病を根本的に治す治療はない。
血管性認知症:
脳梗塞や脳出血などの脳の血管障害によって起こる認知症。以前に脳血管障害にかかっていたり、高血圧、糖尿病、心疾患など脳血管障害の危険因子を持っている人に起こりやすく、アルツハイマー病を併発していることも多い。主な症状は、日常生活に支障を来たすような記憶障害とその他の認知機能障害(言葉、動作、認知、ものごとを計画立てて行う能力などの障害)だが、歩行障害、手足の麻痺、呂律が回りにくい、パーキンソン症状、転びやすい、排尿障害(頻尿、尿失禁など)、抑うつ、感情失禁(感情をコントロールできず、ちょっとしたことで泣いたり、怒ったりする)、夜間せん妄(夜になると意識レベルが低下して別人のような言動をする)などの症状が早期から見られることもある。根本的な治療法はないが、脳の働きや血流を改善する薬などを使って、症状の改善を図る。
レビー小体型認知症:
脳の大脳皮質(人がものを考える時の中枢的な役割を持っている場所)や、脳幹(呼吸や血液の循環に携わる人が生きる上で重要な場所)にレビー小体という特殊なたんぱく質がたくさん集まることによって神経細胞が壊れ、認知症の症状が現れる。
レビー小体病はアルツハイマー病に続いて発症数が多く、認知症全体の約20%を占める。またアルツハイマー病は女性の発症者が多いのに対し、レビー小体病は男性に多く、女性の約2倍と言われている。
初期段階ではもの忘れよりも、実際にはないものがありありと見える「幻視」や、現実の状態を正確に把握できない「誤認妄想」を訴えたり、パーキンソン症状が現れることも多い。抗認知症薬の塩酸ドネぺジルはレビー小体病の進行を抑える効果があるとされ、健康保険が適用されている。
前頭側頭型認知症:
脳の中でも、物を考えるなど脳の中枢的な役割を持った「前頭葉」と、言葉の理解や記憶、さらに聴覚や嗅覚も司っている「側頭葉」が委縮し、認知症が起こる。前頭側頭型認知症は、前頭側頭葉変性症の1つで、ピック病や運動ニューロン疾患型、前頭葉変性症も含まれる。
前頭側頭型認知症ではもの忘れはあまり見られず、「同じ言葉や行動を繰り返す」「食行動の異常(同じものばかり食べたがる、夜中に冷蔵庫のものを食べあさるなど)」「集中力や自発性の低下」「反社会的な行動(万引きやルールを無視するなど)」「なかなか言葉が出てこない」といった症状が目立つ。
正常圧水頭症:
症状は、足が上がらない、小刻みで不安定な歩行、物忘れ及び無気力、尿失禁などが典型です。頭蓋内圧が正常範囲の水頭症を正常圧水頭症と呼び、くも膜下出血や腫瘍、外傷などの後に続いて発症する場合を続発性正常圧水頭症といい、原因が特定できない場合を特発性正常圧水頭症と言います。高齢者認知症の患者の5%~10%が特発性正常圧水頭症と言われています。
外科手術で治療が可能な場合があるのが特徴です。
認知症フォーラム.com より引用
解説:
1、幻視が見られるのは、レビー小体型認知症の初期症状なので誤りです。
3、エピソード記憶の障害が認められるのは、アルツハイマー型認知症の初期症状なので誤り。
4、正常圧水頭症や認知症が進行してくると見られる症状です。なので誤りです。
5、物盗られ妄想は認知症ではよく見られる症状ですが、レビー小体型認知症に見られるというよりは、認知症全体で見られ、特にアルツハイマー型認知症や血管性認知症に多い症状です。
問題 81
- 1 抗認知症薬を服用する。
- 2 睡眠時間を減らす。
- 3 集団での交流活動に参加する。
- 4 運動の機会を減らす。
- 5 飽和脂肪酸を多く含む食事を心がける。
人との交流によって脳に刺激が与えられ、それが発症のリスクを下げると言われています。
解説:
1、抗認知症薬は発症した認知症の進行を抑えるものであって、認知症の発症自体を遅らせるものではないので誤りです。
2、睡眠時間を減らす事と認知症の発症のリスクを減らす事には因果関係は発見されていません。睡眠時間はしっかり確保しましょう。
4、運動する事によって、脳に刺激が与えられるので発症のリスクを軽減する効果があり誤りです。
5、牛や豚肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、過剰摂取する事で動脈硬化や脳卒中のリスクが高くなると言われています。血管性認知症のリスクが高くなるので誤り。
問題 82
- 1 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type with early onset)には効果がない。
- 2 高度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)には効果がない。
- 3 レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)には効果がない。
- 4 症状の進行を完全に止めることはできない。
- 5 複数の抗認知症薬の併用は認められていない。
残念ながら、現在でも認知症の進行を完全に止めるお薬はありません。
解説:
1、若年性アルツハイマー型認知症でも抗認知症薬の効果は認められているので誤りです。
2、進行度に応じてお薬が使用されているので誤りです。
3、アリセプト(塩酸ドネペジル)はレビー小体型認知症の治療薬として用いられます。なので、効果がないは誤りです。
ただし、レビー型認知症の方は薬剤に対する反応が大きいので薬を使う時には注意が必要です。
5、症状や進行に応じて複数のお薬を使う場合があります。なので誤り。
問題 83
- 1 周回がある場合は、GPS追跡機で居場所を確認する。
- 2 甘い食べ物へのこだわりに対しては、甘い物を制限する。
- 3 常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する。
- 4 脱抑制がある場合は、抗認知症薬の服薬介護をする。
- 5 施設内で職員に暴力をふるったときは、警察に連絡する。
常同行動をふまえた、生活習慣を考えると、無理が起こりにくい生活習慣が目指せるかと思います。
解説:
1、周回とは同じところをグルグルと歩いてしまう事を言います。GPSは居場所が分からなくなってしまう人の居場所を知るための機械です。同じところを回っている人には意味がありません。なので誤りです。
2、制限してしまうとストレスや異食の要因となるので、小分けに食べてもらうなどの工夫が必要です。
4、お薬の事は、まず医師に相談しましょう。介護職がいきなり薬を飲んでもらった場合、身体拘束のドラッグロックにあたる可能性も出てきますので。
5、いきなり警察には通報しません。
問題 84
以前からパソコンで日記をつけていたが、最近はパソコンの操作に迷い、イライラして怒りっぽくなったと娘から相談を受けた。
介護福祉職が娘に対して最初に行う助言の内容として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 パソコンの処分
- 2 パソコンの使い方の手助け
- 3 日記帳の購入
- 4 薬物治療について主治医に相談
- 5 施設入所について介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談
まずはパソコンの使い方に迷わないように手助けする事から始めましょう。介護福祉職としては、パソコンのどの操作に迷っているのか、どうすればその問題を解決できるのか、という視点で考えていきましょう。
解説:
1、パソコンで日記をつけるという、ご本人の習慣がなくなってしまうので誤りです。
3、パソコンの操作に迷って、イライラして怒りっぽくなっているので、まずはその問題を解決する事から始めましょう。
日記を購入するのは、本人がパソコンの操作はもう無理です、となってからでも遅くないです。
4、いきなり薬物治療の相談はしません。主治医に相談するとしても薬物治療が必要かどうか判断するのは医師の役割です。
アルツハイマー型認知症の診断が出ていますので、介護福祉職としては、それを踏まえて、パソコンの操作に迷う事へのケアをおこないましょう。
5、いきなり施設入所の相談はしません。パソコンの操作に迷うくらいで施設に入所する必要性はありません。
問題 85
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の介護福祉職が果たす役割として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 理学療法士に、リハビリテーションの指示をしても理解できないと伝える。
- 2 介護支援専門員(ケアマネジャー)に、地域ケア会議の開催を依頼する。
- 3 医師に、夜間は騒ぐ可能性があるので睡眠薬の処方を依頼する。
- 4 看護師に、日常生活の状況を伝える。
- 5 保佐人に、治療方法の決定を依頼する。
- 答えは4です。
生活の場所が変わっても、生活自体が大きく変わらないように看護師に日常生活を伝えておく必要があります。解説:
1、Dさんがリハビリテーションの指示をしても理解が出来ないという事は、問題の中から読み取れないので誤りです。2、地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現に向けた手法です。
地域包括支援センターなどが主催するので誤りです。3、夜間に騒ぐからという理由だけで睡眠薬を処方してもらうと身体拘束に該当する場合もあります。しかも可能性だけで、騒がない可能性すらある。
5、Dさんに決定の能力があるかないかが問題からは分かりませんので、誤りです。
問題 86
- 1 「認知症(dementia)でしょう」
- 2 「趣味の車の運転を再開するといいでしょう」
- 3 「老人クラブに参加するといいでしょう」
- 4 「音楽を流して気分転換するといいでしょう」
- 5 「かかりつけ医に診てもらうといいでしょう」
直前の事を覚えていない事もあるので、一度早いうちに医師に診てもらうのが良いでしょう。
解説:
1、介護福祉職は診断できませんので、Eさんが認知症かどうかは医師の診断を受けましょう。
2、最近の困りごととしては、怒りっぽくなった、直前の事を覚えていないとなっているので、まずはこちらを解決しましょう。
3、介護予防サービスに参加されているので、あまり効果はないと思われます。
ご本人の意向も聞いていませんし。
4、音楽が気分転換になるかどうかが分かりませんので誤りです。
障害の理解
問題 87
- 1 日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)の障害
- 2 運動麻痺
- 3 失語
- 4 職場復帰困難
- 5 経済的不利益
日常生活動作の障害は能力障害に分類されます。
国際障害分類(ICIDH: International Classification of Impairments、Disabilities and Handicaps)とは、20世紀後半に障害、すなわち「疾患が生活・人生に及ぼす影響」をみる必要があるという意識の高まりを受けて作られた、障害の構造を表すモデルです。
ICIDH:WHO国際障害分類(1980)の障害構造モデル
このモデルは障害を機能・形態障害、能力障害、社会的不利の三つのレベルに分けて捉えるという、「障害の階層性」を示した点で画期的なものでした。
しかし、障害というマイナス面を中心にみるものであり、プラス面に目を向けていない、という批判から、2001年に国際生活機能分類(ICF)へと改定される流れとなりました。
解説:
2、運動麻痺は機能障害に分類されます。
3、失語は機能障害に分類されます。
4、職場復帰困難は社会的不利に分類されます。
5、経済的不利益は社会的不利に分類されます。
問題 88
- 1 法の対象者は、身体障害者手帳を持っている人である。
- 2 合理的配慮とは、全ての障害者に同じ配慮をすることである。
- 3 共生社会の実現を目指している。
- 4 障害者は、合理的配慮の提供に努めなければならない。
- 5 障害者差別解消支援地域協議会は、民間事業者で組織される。
(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。
障害の有る無いに関わらず、お互いに人格と個性を尊重し合いながら共に生きていける社会の実現が目的なので3が正解です。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を参照ください。目的のところに書かれています。
解説:
1、法の対象者は全ての国民になりますので誤りです。
2、一人ひとり障害や状況、環境も違うので個別の配慮をする必要があります。なので誤りです。
4、合理的配慮の提供に務めるのは、障害を持っていない人の方なので誤りです。
5、国及び地方公共団体の機関のうち、障害者施策に関連する部署をはじめ、NPO法人などの団体、学識経験者などで組織されるため誤り。
問題 89
- 1 筋ジストロフィー(muscular dystrophy)
- 2 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)
- 3 脳血管疾患(cerebrovascular disease)
- 4 脳性麻痺(cerebral palsy)
- 5 脊髄損傷(spinal cord injury)
問題 90
- 1 脳腫瘍(brain tumor)
- 2 アルコール依存症(alcohol dependence)
- 3 パニック障害(panic disorder)
- 4 認知症(dementia)
- 5 統合失調症(schizophrenia)
精神障害には、大きく分けて外因性・心因性・内因性があります。
外因性は、原因がはっきりしているもの。原因はいろいろで身体の疾患、外傷、薬剤等があります。脳の障害による外因性精神障害として代表的なのがてんかんです。
心因性は主にストレスや個人の性格などを原因とするものになります。
内因性は外因性と心因性を除いたものをいいます。
東京逓信病院ホームページを参照
解説:
1、脳腫瘍は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
2、アルコール依存症は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
3、パニック障害は心因性精神障害に分類されるので誤りです。
4、認知症は外因性精神障害に分類されるので誤りです。
問題 91
次のうち、Fさんが地域移行するときの社会資源として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ケアハウス
- 2 共同生活援助(グループホーム)
- 3 自立支援医療
- 4 精神科病院
- 5 同行援護
障害者福祉のサービスについての問題です。
施設入所支援は夜間の日常生活上の支援になります。選択肢の中で夜間の生活上の支援があるのはグループホームだけになりますので2が正解です。
参考のために障害者福祉サービス一覧のリンクを貼っておきます。
解説:
1、ケアハウスは介護度が低い方の向けのサービスです。
重度のFさんには向いていないので誤りです。
3、医療も必要かもしれませんが、地域移行の際に施設入所支援の代わりに夜間の支援ができるものでは無いので誤りです。
4、治療が必要だという記述は無いので、この事例の場合は誤りです。
5、外出時だけではなく、日常生活全般で支援が必要なので最も必要な社会資源では無いので誤り。
問題 92
- 1 読み書きの障害
- 2 社会性の障害
- 3 注意の障害
- 4 行為障害
- 5 運動障害
自閉症スペクトラム障害の特徴として、対人関係が苦手・強いこだわりがあるというのがあげられますので、2が正解です。
自閉症スペクトラムについては
すまいるナビゲーターホームページを参照下さい。
問題 93
- 1 免疫疾患である。
- 2 振戦や筋固縮が主な症状である。
- 3 視力や聴力は保たれる。
- 4 運動失調が現れる。
- 5 全身の臓器に炎症を起こす。
筋萎縮性側索硬化症とは:手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけます。
その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。
その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
解説:
1、いまだに原因は不明なので免疫疾患かどうかは分かりません。わかっているのは、上に書いた運動神経が障害を受けるという事です。なので誤りです。
2、手や足だけではなく、喉や舌など呼吸器系にも症状が出て、呼吸苦やむせ、飲み込みにくさなどの症状も出てきます。
振戦や筋固縮が主な症状の疾患にはパーキンソン病があります。
4、運動失調症とは、目的の運動に関係する様々な動きの協調性が悪くなるため、それを円滑にできなくなる状態を指します。
ALSでは運動神経の障害が原因で筋肉が衰えるのも副次的な症状なので、これには当てはまらないと考えられます。
5、臓器ではなく、神経に炎症を起こす事があります。
問題 94
医師から失明は避けられないと説明を受けた。
その後、Gさんは周囲に怒りをぶつけたり、壁に頭を打ちつけたりという行動がみられるようになった。
このときのGさんの障害受容の状況として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ショックではあるが,不安はそれほど強くない。
- 2 自分には障害はないと否認する。
- 3 前向きに自己努力を図ろうとする。
- 4 否認ができずに混乱する。
- 5 新しい価値観や役割を見いだす。
障害受容の問題です。
怒りや混乱する様子が見られます。
【障害受容の5段階】
ショック期:障害発生の直後。感情が鈍麻した無関心な状態にあることが多い。
否認期:身体的状態の安定とともに心理的防衛反応としての疾病・障害の否認を生じる。
混乱期:怒り、うらみ、悲嘆、抑うつなどの混乱した状態。
解決への努力期:前向きの建設的な努力が主になる時期。
受容期:社会(家庭)のなかで新しい役割や仕事を得て、活動をはじめ、その生活に生きがいを感じるようになる。
解説:
1、怒りや頭をぶつけるなどのどうしようもない感情が見られるので不安が無いとは思えません。なので誤りです。
2、否認であれば、自分には障害は無いと思うので、怒りや頭をぶつけたりする事も無いので誤りです。
3、前向きに自己努力を図ろうとはしていないので誤り。
5、受容には至っていないと思われるので誤りです。
問題 95
Hさんのホーエン・ヤール重症度分類として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 ステージⅠ
- 2 ステージⅡ
- 3 ステージⅢ
- 4 ステージⅣ
- 5 ステージⅤ
ホーエン・ヤールの重症度分類の問題です。
問題文から、方向転換が不安定、介助を必要としないとありますのでⅢ度に当てはまります。
パーキンソン病の進行度を示す指標としては、「Hoehn & Yahr(ホーエン・ヤール)の重症度分類」と「生活機能障害度分類」が広く用いられています。
(※ホーエン・ヤールはホーン・ヤールと記載されているものもありました。)
ホーエン・ヤールの重症度分類:
Ⅰ度 体の片側だけに手足のふるえや筋肉のこわばりがみられる。体の障害はないか、あっても軽い。
Ⅱ度 両方の手足のふるえ、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。日常の生活や仕事がやや不便になる。
Ⅲ度 小刻みに歩く、すくみ足がみられる。方向転換のとき転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせる。職種によっては仕事を続けられる。
Ⅳ度 立ち上がる、歩くなどが難しくなる。生活のさまざまな場面で、介助が必要になってくる。
Ⅴ度 車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。
ちなみに、
生活機能障害度分類:
Ⅰ度 日常生活、通院にほとんど介助がいらない。
Ⅱ度 日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。
Ⅲ度 日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで歩いたり、立ち上 がったりできない。
ホーエン・ヤール分類のⅠ度とⅡ度が生活機能障害度分類のⅠ度に、
Ⅲ度とⅣ度がⅡ度に、Ⅴ度がⅢ度にあたります。
パーキンソン病についてもう少し詳しく知りたい方は、
⤵︎⤵︎こちらの記事をどうぞ。⤵︎⤵︎
[sitecard subtitle=関連記事 url=https://munakatano-bloguniversity.com/care-parkinson target=]
問題 96
- 1 家族会が行う悩み相談
- 2 近隣の住民からの善意の声かけ
- 3 同居家族が行う身の回りの介護
- 4 コンビニエンスストアによる見守り
- 5 民生委員が行う相談・援助
地域の社会資源に関する問題です。制度化されたというところがポイントになります。
解説:
1、家族会は任意の団体で、制度化はされていません。
2、制度化した時点で善意の声かけでは無くなってしまいそうです。
3、同居家族が身の回りの介護をおこなう制度にしてしまうと、介護離職が物凄い数になってしまいます。
4、地域や警察などと連携して見守りをおこなってくれているコンビニもありますが、制度化はされていないので誤りです。
こころとからだのしくみ
問題 97
- 1 生命を脅かされないこと
- 2 他者からの賞賛
- 3 自分の遺伝子の継続
- 4 好意がある他者との良好な関係
- 5 自分自身の向上
好意がある他者との良好な関わりは社会的欲求と愛の欲求にあたります。
もう少し詳しい説明がWikipediaにあります。
気になる方は、こちらへどうぞ。
解説:
1、生命を脅かされない事は生理的欲求になりますので誤りです。
2、他者からの称賛は承認欲求になりますので誤り。
3、自分の遺伝子の継続は、調べてもはっきり分かりませんでした。
本能に組み込まれていると考えると生理的欲求でしょうし、社会的欲求ではないので消去法で4を正解としました。
5、自分自身の向上は自己実現欲求になりますので誤り。
問題 98
- 1 頭頂葉
- 2 前頭葉
- 3 側頭葉
- 4 後頭葉
- 5 大脳辺縁系
脳の機能局在に関する問題です。
頭頂葉はモノ(接触・圧力・温度・痛みなど)を感じて解析する機能、空間の知覚機能など感覚に関する情報を処理しています。
頭頂葉は身体の様々な部位からの感覚情報の統合や、数字とそれらの関係に関する知識、対象の操作などに関する機能に重要な役割を持つ。頭頂葉の一部は視覚空間処理に関わっているともされていて、頭頂葉は他の3つの大脳葉に比べてほとんどよく分かっていない大脳葉である。
Wikipedia より
解説:
2、前頭葉は思考・意思・創造力など、ものを考える機能、運動の指令を出す機能をつかさどります。
3、側頭葉は記憶や言語、音の解析や記憶の理解・感情制御・記憶や物事の判断・聴覚をつかさどる部分になります。
4、後頭葉は目から入る視覚情報を解析する機能、色や形などを処理する部分になります。
5、大脳辺縁系は情動の表出、食欲、性欲、睡眠欲、意欲などの本能、
喜怒哀楽、情緒、神秘的な感覚、睡眠や夢などをつかさどっており、記憶や自律神経活動をする部分になりますので誤りです。
問題 99
- 1 爪の白濁 チアノーゼ(cyanosis)
- 2 巻き爪 心疾患
- 3 さじ状爪 鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia)
- 4 ばち状指 栄養障害
- 5 青紫色の爪 爪白癬
鉄欠乏症では、爪がスプーン状に変形することがあります(匙状爪)。この変形は、特にプラマー-ビンソン症候群に特徴的なものです。
MSDマニュアル家庭版 より
解説:
1、爪の白濁は爪白癬や肝硬変が原因と考えられますので誤りです。
2、歩行の姿勢や足の形状、靴などが原因と考えられますので誤り。
4、肺癌や気管支拡張症など一部の肺疾患が原因と考えられていますので誤りです。
5、チアノーゼが原因と考えられますので誤り。
問題 100
- 1 歯がない場合に起こりやすい。
- 2 唾液量が多いと生じる。
- 3 ウイルス感染の原因となることがある。
- 4 食事量が増加した場合に起こりやすい。
- 5 他者との交流を避ける原因となることがある。
匂いを気にして他者と話をしなくなったり、近づかないようになったり交流を避ける原因となり得ます。
参考:口腔外科相談室 より
解説:
1、口臭は歯周病や虫歯が原因となることが多いため、歯がない場合には口臭は起こりにくいと考えられますので誤りです。
2、唾液量が多いと殺菌効果も高くなると考えられますので誤り。
3、ウイルス感染により口臭が強くなる事は考えられますが、その逆は考えにくいので誤りです。
4、食事量が増えると噛む回数も増えて唾液の分泌を促しますので、結果として殺菌効果が高まり口臭も抑えられると考えられますので誤り。
問題 101
- 1 転落によって生じることが最も多い。
- 2 骨折(fracture)の直後は無症状である。
- 3 リハビリテーションを早期に開始する。
- 4 保存的治療を行う。
- 5 予後は良好である。
早期にリハビリをおこなう事で能力の低下を防ぎ、予後を良好にする可能性が高くなりますので、早い場合には手術翌日から座位訓練が始まったりもします。
解説:
1、転倒によって生じる事が最も多いので誤りです。
2、骨折直後から痛みがある事が多いので誤り。
4、全身状態が手術に耐えられない場合などを除いては、基本的には手術がおこなわれます。なので誤りです。
5、療養中の安静や痛みによる運動量の低下などでADLが落ちる事が多いので、予後は良好とは言えず誤りです。そのために早期のリハビリがおこなわれるようにもなっています。
問題 102
- 1 先行期は、唾液分泌が増加する。
- 2 準備期は、嚥下性無呼吸がみられる。
- 3 口腔期は、喉頭が閉鎖する。
- 4 咽頭期は、食塊を形成する。
- 5 食道期は、随意的な運動である。
梅干しを思い出したら唾液が出るのと同じで、食べ物を見て脳が食べる準備をするように指令を出して唾液が出てきます。
解説:
2、嚥下性無呼吸は食塊を飲み込む時に起こるので誤りです。
3、咽頭が閉鎖するのは咽頭期なので誤り。
4、食塊を形成するのは口腔期なので誤りです。
5、食道期は食塊を胃へと送る時期になりますが、私たちは意識して食道を蠕動運動させている訳ではないので随意的な運動とは言えません。なので誤りです。
問題 103
最近、Jさんは、トイレに行きたいと言ってグループホーム内を歩き回った後に、失禁するようになった。
Jさんの排泄の状態として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 反射性尿失禁
- 2 心因性頻尿
- 3 溢流性尿失禁
- 4 機能性尿失禁
- 5 腹圧性尿失禁
機能性尿失禁とは排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。
たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。この尿失禁の治療は、介護や生活環境の見直しを含めて取り組んでいく必要があります。
解説:
1、反射性尿失禁は、膀胱に刺激が加わると不意に膀胱が収縮して排尿してしまう失禁です。交通事故などで脊髄の損傷、神経系の障害によって抑制中枢が完全に失われてしまったことによる後遺症の一つとしてみられます。尿意が大脳まで伝わらないので尿意をもよおすことがなく、膀胱からの感覚が刺激となり反射的に尿を失禁してしまいます。
2、緊張や不安によって起こる頻尿の事なので誤りです。
3、自分で尿を出したいのに出せないなど尿が出にくくなる排尿障害があ
り、溜まった尿が少しづつ漏れ出てしまう失禁の事なので誤り。
5、重い荷物を持った時、咳やくしゃみをした時などお腹に力が入った時に起こります。なので誤りです。
問題 104
- 1 1 日に約 1 g のたんぱく質が排出される。
- 2 1 日に約 10 g のブドウ糖が排出される。
- 3 排尿直後はアンモニア臭がする。
- 4 排尿直後はアルカリ性である。
- 5 排尿直後は淡黄色で透明である。
正常な尿は淡い黄色で透明である事が多いです。
参考:Wikipedia より
解説:
1、通常はタンパク質は排出されないので誤りです。
2、通常はブドウ糖は排出されないので誤り。
3、排尿直後はあまりアンモニア臭はしない。排尿後に尿の中の尿素が細菌によって分解される事によってアンモニアが発生して悪臭を出します。もし排尿からきついアンモニア臭がした場合は尿の通り道が菌に感染している腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎などが考えられます。
4、排尿直後の尿は弱酸性です。なので誤りです。
問題 105
- 1 食物繊維の摂取不足
- 2 排便を我慢する習慣
- 3 腹圧の低下
- 4 大腸のけいれん
- 5 がん(cancer)による通過障害
便秘のタイプ
器質性・機能性・症候性・薬剤性。
さらに直腸性・痙攣性・弛緩性に分けられる。
弛緩性便秘の症状
腹痛は少ないがお腹が張る。硬く太いコロコロした便。肌荒れ。など
弛緩性便秘の原因
筋力低下。内臓下垂。食物繊維不足。水分不足。など
弛緩性便秘の解消法
適度な運動。おへそのぞき腹筋。逆さ自転車こぎ。お腹のマッサージ。ロダンの考える人の姿勢。食物繊維を摂る。発酵食品・乳酸菌を摂る。水分を摂る。規則正しい生活をする。など
解説:
2、直腸性便秘の原因なので誤りです。
3、腹圧の低下は、機能性便秘全てに言えるので、最も正しい答えでは無い。
4、大腸の痙攣は痙攣性便秘の原因になりますので誤り。
5、がんによる通過障害は直腸性の原因になるので誤り。
問題 106
- 1 就寝後,短時間で覚醒する。
- 2 夜間に十分睡眠をとっても,日中に強い眠気がある。
- 3 睡眠中に足が痛がゆくなる。
- 4 睡眠中に無呼吸が生じる。
- 5 夢の中の行動が,そのまま現実の行動として現れる。
主な副作用の眠気にあたります。
抗ヒスタミン薬とは
・神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え蕁麻疹、花粉症、喘息などによる皮膚の腫れや痒み、鼻づまり、咳などの症状を改善する薬
主な副作用と注意点
- 眠気
- 抗ヒスタミン作用により脳の活動が抑えられ眠気があらわれる場合がある
- 薬剤によっても眠気の頻度や症状の度合いは異なるため個々の体質や生活などに適した薬剤の選択が重要となる
- 消化器症状
- 口渇、吐き気、便秘などがあらわれる場合がある
- 痙攣誘発に関しての注意
- 本剤中の全ての薬剤でおこるわけではなく、当てはまる一部の薬剤においても頻度は非常に稀である
- 顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとして意識が薄れるなどの症状がみられる場合がある
- 上記のような症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
解説:
1、眠りが浅い、頻尿、睡眠時無呼吸症候群などが原因として考えられますが、抗ヒスタミン薬の作用・副作用には当てはまらないので誤りです。
3、抗ヒスタミン薬ではなく、ヒスタミンの働きでしょうか。むずむず脚症候群にも似ています。誤りです。
4、睡眠時無呼吸症候群の症状です。誤り。
5、レム睡眠行動障害の症状です。これも誤りです。
問題 107
- 1 ターミナルケア(terminal care)
- 2 インフォームドコンセント(informed consent)
- 3 リビングウィル(living will)
- 4 デスカンファレンス(death conference)
- 5 グリーフケア(grief care)
終末期に関する問題です。
リビング・ウィル(living will)とは、生前の意思という意味の英語の音訳。生前に行われる尊厳死に対してであれば「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示のこと。またそれを記録した「遺言書」などのこと。インフォームド・コンセントの浸透とともに、このような考え方が広まってきた。ほかに葬儀の方法や、臓器提供の可否などがリビング・ウィルの対象として論じられることが多い。
参考:Wikipedia より
人生会議やアドバンス・ケア・プランニング(ACP)など100年時代の人生の最期をどのように迎えるかという課題の一部分がリビング・ウィルに当たるかと思います。
解説:
1、ターミナル=終末期におこなわれる、医療・看護的、介護的ケアのことです。少しでも心穏やかに過ごせるように痛みや不安、ストレスを緩和し、患者様のQOL(クオリティオブライフ=自分らしい生活の質)を保つことを目的としています。誤りです。
2、治療の内容についてよく説明を受けinformed(充分に理解)した上で、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針においてconsent(合意する)こと。医師の説明と同意が必要という事。誤り。
4、元々は、患者さんが亡くなった後に、ケアを振り返り今後のケアの質を高めるためにおこなわれる会議の事。話し合いを通して看護師個々の成長を支援することも目的としています。誤りです。
5、グリーフとは、直訳すれば「深い悲しみ」や「悲嘆」を意味する言葉で、大切な人を失ったときに起こる身体上・精神上の変化を指します。死別はもちろんのこと、離婚などによって関係がきれるとき、引越しで慣れ親しんだ場所から離れるとき、職を失くしたとき、ペットが死んだときなど、さまざまな状況で私たちはグリーフを経験します。グリーフは喪失に対する自然な反応で、誰にでもいつかは起こることです。グリーフケアはこのような状態にある人に、さりげなく寄り添い、援助することを言います。誤り。
問題 108
- 1 関節の強直
- 2 角膜の混濁
- 3 皮膚の死斑
- 4 下顎呼吸の出現
- 5 筋肉の硬直
死亡直前のからだの変化と死亡直後のからだの変化に関する問題です。
参考:鳥取市立病院PDFより
解説:
1、死亡後に見られる変化なので誤りです。
2、死亡後に見られる変化なので誤り。
3、死亡後の変化になりますので誤り。
5、死亡後の変化なので誤りです。
医療的ケア
問題 109
- 1 咽頭の手前まで
- 2 咽頭まで
- 3 喉頭まで
- 4 気管の手前まで
- 5 気管分岐部まで
参考:厚生労働省ホームページより
問題 110
- 1 喀痰吸引や経管栄養は,医行為から除外された。
- 2 喀痰吸引等を行うためには,実地研修を修了する必要がある。
- 3 介護福祉士は,病院で喀痰吸引を実施できる。
- 4 介護福祉士は,この制度の基本研修の講師ができる。
- 5 実施できる行為の一つとして,インスリン注射がある。
解説:
1、医療行為から除外された訳ではありません。医療行為の一部を介護福祉士がおこなえるようになりました。
3、医療機関は対象外です。
4、医師や看護師が講師をおこなう。
5、インスリン注射はおこなえません。
問題 111
鼻腔内吸引を実施したところ、吸引物に血液が少量混じっていた。Kさんは、「痰は取り切れたようだ」と言っており、呼吸は落ち着いている。
このときの介護福祉士の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 出血していそうなところに吸引チューブをとどめる。
- 2 吸引圧を弱くして再度吸引をする。
- 3 血液の混じりがなくなるまで繰り返し吸引をする。
- 4 鼻腔と口腔の中を観察する。
- 5 鼻腔内を消毒する。
解説:
1、吸引チューブをとどめても出血は止まりません。誤りです。
2、吸引圧は指定の圧から変更してはいけませんので誤りです。
3、出血しているところを繰り返し吸引したら、さらに出血したり傷口が悪化する可能性があります。なので誤り。
5、看護師に報告して、消毒が必要かどうか確認してください。消毒自体も医師か看護師がおこないます。誤り。
問題 112
- 1 吸引チューブの保管方法のうち、乾燥法では、浸漬法に比べて短時間で細菌が死滅する。
- 2 浸漬法で用いる消毒液は、72 時間を目安に交換する。
- 3 吸引チューブの洗浄には、アルコール消毒液を用いる。
- 4 吸引チューブの洗浄水は、24 時間を目安に交換する。
- 5 吸引物は、吸引びんの 70~80%になる前に廃棄する。
解説:
1、乾燥の方が時間がかかりますので誤りです。
2、24時間が目安となっています。なので誤りです。
3、滅菌水や水道水などで洗浄します。アルコールは外側を消毒するときに使用します。
4、この問題の意図が分かりませんでしたので解説出来ていません。すみません。
吸引チューブの内側を洗浄した水なら24時間では菌が増殖する可能性があるので誤りだと思います。使用した洗浄水は破棄して、次の使用時に用意する方が清潔でしょう。
問題 113
- 1 呼吸困難
- 2 胃ろう周囲のびらん
- 3 下痢
- 4 褥瘡
- 5 低血糖
解説:
常識的に考えて、としか言いようがないですね。
総合問題
(総合問題 1 )
次の事例を読んで、問題 114 から問題 116 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Lさん(78 歳、女性)は一人暮らしをしている。
「もったいない」が口癖で、物を大切にし、食べ物を残さないようにして生活している。
半年前、脳の細い血管が詰まっていることがわかり、入院して治療を受けた。
左半身にしびれがあり、右膝の変形性関節症(osteoarthritis)で痛みもあったために、介護保険の申請をしたところ、要介護 1 になった。
家事はできるだけ自分でしたいという希望から、週に 2 回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用して、掃除と調理を訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒にしている。
問題 114
- 1 ラクナ梗塞(lacunar infarction)
- 2 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)
- 3 慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)
- 4 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
- 5 高次脳機能障害(higher brain dysfunction)
”ラクナ”とはラテン語で”小さなくぼみ”という意味で、脳の深い部分を流れている細い血管が詰まってしまうことで起きる脳梗塞を「ラクナ梗塞」といいます。
解説:
2、くも膜とは、脳の外側を覆っている脳と脳脊髄(のうせきずい)液全体を包んでいる膜で、くも膜の内側の液体がたまっているスペースがくも膜下腔です。
このスペースで出血が起こると「くも膜下出血」と呼ばれます。
3、頭部外傷後、通常1~2カ月かけて、頭蓋骨の下にある硬膜(脳と脊髄を覆う膜の一つ)と脳の間にじわじわと血液がたまって血腫ができる病気です。
血腫が大きくなり脳を圧迫することで、頭痛、物忘れ、認知症によく似た症状(意欲の低下、性格の変化、反応の低下など)、歩きにくさ、片方の手足に力が入らないなどさまざまな症状をきたします。
4、脳と脊髄は、頭蓋内で脳脊髄液(髄液)という液体に浮いた状態で存在しています。
この髄液が、通常より多く頭蓋骨の内側に溜まった状態が「水頭症」です。
このうち、腫瘍などにより髄液の通過障害が生じ、髄液が貯留して頭蓋内の圧が上がることを「非交通性水頭症」といいます。
一方、くも膜下出血や髄膜炎などで髄液の吸収障害が生じ、髄液が貯留することを「正常圧水頭症(Normal Pressure Hydrocephalus:NPH)」といいます。
この場合、髄液の交通は妨げられず、さほど頭蓋内圧が上がりません。
5、高次脳機能障害は、けがや病気によって脳に損傷を負い、知的な機能に障害が出て日常生活や社会生活に支障を来す状態を指します。
主な症状には、失語、半側空間無視、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
問題 115
Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 黙って処分する。
- 2 食べてはいけないと伝える。
- 3 食べやすいように,缶のふたを開けておく。
- 4 食べ方を相談する。
- 5 保存容器に移して保管するように勧める。
まずは食べるのか捨てるのか確認しましょう。食べるのであれば、どうやって食べるか相談します。
解説:
1、本人に処分するかどうか確認してから捨てて下さい。
2、命令です。やめて下さい。
3、食べるのかどうか確認しましょう。
5、保管するかどうか確認しましょう。
問題 116
次のうち、Lさんの介護予防サービス・支援計画書を作成する者として、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 訪問介護事業所の訪問介護員(ホームヘルパー)
- 2 生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター
- 3 地域包括支援センターの主任介護支援専門員
- 4 訪問介護事業所のサービス提供責任者
- 5 生活介護のサービス管理責任者
(総合問題 2 )
次の事例を読んで、問題 117 から問題 119 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Mさん(80 歳、男性)は、 2 年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断された。
Mさんは自宅で暮らし続けることを希望して、介護保険サービスを利用しながら妻と二人で生活していた。
その後、Mさんの症状が進行して妻の介護負担が大きくなったため、Mさんは、U社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設に入所することになった。
Mさんの入所当日、担当のA介護福祉職は、生活相談員が作成した生活歴や家族構成などの基本情報の記録を事前に確認した上で、Mさんと関わった。
問題 117
- 1 施設サービス計画書
- 2 インシデント報告書
- 3 エコマップ
- 4 プロセスレコード
- 5 フェイスシート
フェイスシートとは、医療・福祉分野で援助を目的とした情報収集において使用される利用者の「氏名」「年齢」「性別」「家族構成」「健康状態」などの基本データをまとめた用紙。サービスを利用する前に、まずはじめに「この利用者はどんな人か」を知る為の書類です。
解説:
1「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3つの施設でサービスを受けられるよう検討されたケアプランです。
ケアマネジャーがケアプランを作成します。
2 誤った行為を実施してしまったり、実施しそうになってしまったりといったミスが発生することがあります。
このようなできごとを「インシデント」と呼びます。結果として患者さんに悪影響を及ぼさなかったものがインシデントに分類されますが、再発防止のために報告書の提出が必要になります。
3 要介護者を中心として、その周辺にある社会資源(家族、 兄弟姉妹、友人、近隣住民、医師、各種介護関連機関など)との相関関係を、ネットワーク として表現した地図のこと。
4 看護者と患者の間の相互作用にかんする文章による記録のこと。
問題 118
このときのMさんの症状に該当するものとして、適切なものを1 つ選びなさい。
- 1 幻視
- 2 失行
- 3 振戦
- 4 脱抑制
- 5 常同行動
失行とは、パターンや順序を覚える必要がある作業を行う能力が失われる障害です。
参考:MSDマニュアル家庭版
解説:
1、実際には存在しないものが見える症状。レビー小体型認知症の方によくみられます。
3、振戦とは、手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえです。振戦は、筋肉の収縮と弛緩が繰り返されたときに起こります。
4、脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。
脳の外傷、特に前頭葉の損傷では共通した症状としてみられるほか、せん妄、躁状態、薬物・アルコールの影響下にある人にも認められます。
5、同じ行動を繰り返しおこなう事をいいます。前頭側頭型認知症の方にみられることがあります。
問題 119
A介護福祉職は妻の発言を受けて、介護サービスをもっと気軽に利用してもらうための取り組みが必要であると考えた。
そこで、A介護福祉職は施設職員と検討した。その結果、地域の家族介護者を対象に、介護に関する情報提供や交流を図る場を無料で提供することを、独自の事業として継続的に行うことを法人として決定した上で、必要な手続きを行うこととした。
U社会福祉法人が行うこととした事業に該当するものとして、適切なものを 1 つ選びなさい。
- 1 公益事業
- 2 日常生活自立支援事業
- 3 相談支援事業
- 4 自立相談支援事業
- 5 地域生活支援事業
公益(こうえき)とは社会一般のためになる、公共の利益。
解説:
2、日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うものです。
3、障害福祉に関する様々な情報提供や、そのサービスを利用するための計画の作成などをおこなうサービスです。
支援が必要な障害のある方やご家族が利用できます。
4、自立相談支援事業は、生活困窮者からの相談に早期かつ包括的に応ずる相談窓口となります。ここでは、生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析(アセスメント)し、その課題を踏まえた「自立支援計画」を作成するなどの支援を行います。また、関係機関との連絡調整や支援の実施状況の確認なども行います。
5、障害者等が、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、住民に最も身近な市町村を中心として実施される事業。
(総合問題 3 )
次の事例を読んで、問題 120 から問題 122 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Bさん(22 歳、男性)は、19 歳の時に統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神保健指定医の診察の結果、入院の必要があると診断された。Bさん自身からは入院の同意が得られず、父親の同意で精神科病院に入院した。
その後、数回の入退院を繰り返した後、21 歳から居宅介護を週 1 回、訪問看護を月 2 回、デイケアを週 3 回利用しながら一人暮らしをしている。
居宅介護では、料理や掃除、買物などの介護福祉職の支援を受けているが、Bさんも調子の良いときは一緒に行っている。訪問看護では、Bさんは、服薬を忘れることがあるため、看護師と一緒に薬の飲み忘れがないかを確認している。また、デイケアでは、運動と園芸のグループに参加している。
問題 120
- 1 任意入院
- 2 医療保護入院
- 3 応急入院
- 4 措置入院
- 5 緊急措置入院
患者さんご本人の同意がなくても、精神保健指定医が入院の必要性を認め、患者さんのご家族等のうちいずれかの方が入院に同意したときの入院です。
精神保健福祉法に基づく家族等とは、次のような方です。
① 配偶者
② 親権を行う者
③ 扶養義務者(直系血族、兄弟姉妹又は3 親等内の親族で家庭裁判所が選任した者)
④ 後見人または保佐人
解説:
1、任意入院とは本人の意思で精神科病棟へ入院することです。
3、患者さん本人またはそのご家族等の同意がなくても、精神保健指定医が緊急の入院が必要と認めたときに、72時間を限度として行われる入院です。
4、精神疾患があり自傷他害のおそれがある場合で、知事の診察命令による2人以上の精神保健指定医の診察の結果が一致して入院が必要と認められたとき、知事の決定によって行われる入院です。
5、精神疾患があり自傷他害のおそれがある場合で、正規の措置入院の手続きがとれず、しかも急速を要するとき、精神保健指定医1人の診察の結果に基づき知事の決定により72時間を限度として行われる入院です。
問題 121
ある日、C介護福祉職が掃除をしていて、薬が 2 週間分内服されていないことを見つけた。
また、Bさんは、「Cさんにだけ話します。みんなが私の悪口を言って、電波を飛ばして監視しています」とおびえながら話した。
話を聞いたC介護福祉職のBさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 「今すぐ薬を飲んでください」
2 「悪口の内容を詳しく教えてください」
3 「薬を飲んでいないからですよ」
4 「医師に話しておきますね」
5 「それは不安ですね」
まずは傾聴と共感から。
解説:
1、命令。誤り。
2、聴いても良いとは思いますが、最初ではない。誤りです。
3、決めつけ。この時点で原因はわかりません。
4、医師に伝える必要はあるかもしれませんが、まずはBさんのお話を聴いて何が起こっているのかを把握しましょう。
問題 122
最近は、デイケアで就労を目指すグループ活動に自ら参加するようになった。
Bさんは、「就労に挑戦してみたい」という気持ちはあるが、就労経験のある他のメンバーの失敗談を聞くと、「自信がない」とも言っている。
Bさんへの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 自分で料理と掃除ができるようになることが優先であると話す。
2 服薬ができなかったことを取り上げ、治療に専念するように話す。
3 無理せず、今の生活を維持することが大切であると話す。
4 長所を一緒に探し、どのような仕事が向いているのかを考えようと話す。
5 他のメンバーの失敗原因を考え、失敗しない対策をしようと話す。
まずは出来ることとやりたい事から考えていきましょう。
解説:
1、どこから料理と掃除の話が出てきたか分かりません。誤りです。
2、就労に挑戦したいという前向きな気持ちになっているのに、過去の事を取り上げて自信を失わせる事になるかもしれません。誤りです。
3、考え方は人それぞれ。無難が良い人もいれば挑戦が良い人もいます。本人の気持ちを尊重しましょう。
5、考えても良いでしょうが、まずは自分の出来る事、やりたい事から話しましょう。出来る能力に着目です。
(総合問題 4 )
次の事例を読んで、問題 123 から問題 125 までについて答えなさい。
〔事 例〕
Dさん(59 歳、女性)は 30 年前に関節リウマチ(rheumatoid arthritis)を発症して、現在、障害者支援施設に入所している。
Dさんは、朝は手の動きが悪く痛みがあるが、午後、痛みが少ないときは関節を動かす運動を行っている。足の痛みで歩くのが難しく車いすを使用しているが、最近は手の痛みが強くなり、自分で操作することが難しい。また、食欲がなく、この 1 か月間で体重が 2 kg 減っている。夜中に目が覚めてしまうこともある。
問題 123
1 睡眠不足
2 低栄養
3 平衡感覚の低下
4 筋力低下
5 関節の炎症
関節リウマチとは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じるのが、他の関節の病気と異なる点です。
手足の関節で起こりやすく、左右の関節で同時に症状が生じやすいことも特徴です。
その他にも発熱や疲れやすい、食欲がないなどの全身症状が生じ、関節の炎症が肺や血管など全身に広がることもあります。
関節リウマチで生じる関節の腫れと痛みは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。免疫は、外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して破壊し、それらを排除する働きを担っています。
しかし、免疫に異常が生じると、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。それにより炎症が起こり、関節の腫れや痛みとなって現れてきます。
その炎症が続くと、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して、骨や軟骨を破壊していきます。
解説:
1から4、朝の痛みの症状の原因としては不適切なので誤りです。
問題 124
1 介護給付費
2 補装具費
3 自立支援医療費
4 訓練等給付費
5 相談支援給付費
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害者が日常生活を送る上で必要な移動等の確保や、就労場面における能率の向上を図ること及び障害児が将来、社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的として、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替する用具について、同一の月に購入又は修理に要した費用の額(基準額)を合計した額から、当該補装具費支給対象者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(政令で定める額が基準額を合計した額の百分の十を超えるときは、基準額に百分の十を乗じた額)を控除して得た額(補装具費)を支給する。
※政令で定める額…市町村民税世帯非課税者以外の者:37,200円、市町村民税世帯非課税者:0円
対象者は、補装具を必要とする障害者、障害児、難病患者等。
※難病患者等については、告示に定める疾病に限る。
解説:
1、介護保険のサービスを利用すると、原則として利用者は料金の1~2割を負担します。
残りの9割は介護給付としてサービスを提供した事業所に払われますが、その金額の算定基準のことを介護報酬(介護給付費)といいます。
3、自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
⚪︎通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
⚪︎更生医療:身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けた者で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳以上)
⚪︎育成医療:身体に障害を有する児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療により確実に効果が期待できる者(18歳未満)
が対象となります。
4、障害者自立支援法のサービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)をふまえ、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。
「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。
自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)があります。
5、相談支援とは、障害のある人が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、身近な市町村を中心として実施している事業のことです。
計画相談支援・障害児相談支援、地域移行支援・地域定着支援、障害者相談支援事業、住宅入居等支援事業(居住サポート事業)、成年後見制度利用支援事業などがあります。
問題 125
日常生活で、Dさんが当面留意すべきこととして、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 前あきの衣類より、かぶりの衣類を選ぶ。
2 ベッドのマットレスは、柔らかいものを使用する。
3 関節を動かす運動を控える。
4 できるだけ低いいすを使う。
5 頸部が屈曲位になるように、高めの枕を使用する。
関節リウマチは関節の炎症なので、運動をすることで炎症が強くなる可能性があります。
解説:
1、前あきの衣類の方が着替えがし易いので誤りです。
2、柔らかすぎると動きにくいので誤りです。
4、あまり椅子が低すぎると立ち上がりがしにくくなるので誤りです。
5、頸部に負担がかかるので誤りです。
お疲れ様です。
これで、第32回の過去問は全て終了となります。
皆様に良い結果が訪れる事をお祈りいたしまして、終わりとさせていただきたいと思います。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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