【お薬】浣腸:グリセリン浣腸について。効果や作用・副作用などを分かりやすく説明いたします。【介護】

グリセリン浣腸

1. この薬はどんな薬?

グリセリン浣腸は、肛門から薬液を入れて排便を促す浣腸薬です。
薬液に含まれる「グリセリン」が腸の粘膜を刺激し、腸を動かしたり、便を軟らかくすることで排便を促します。

介護の現場では、「すぐに排便させたい時の、即効性のある方法」としてよく使われます。

便秘が重度の場合や、便が直腸に溜まって苦しいときに使用されることが多い薬です。

2. 効果

グリセリン浣腸は以下のような場面で使用されます。
・便が長く出ていない
・直腸に硬い便が溜まっている
・自然排便のきっかけが作れない
・高齢者で排便反射が弱っている
・坐薬(新レシカルボン・ビサコジル)が効かなかった時
・強い苦痛がある時の即効処置

効果は非常に早く、数分〜15分程度で排便が起こることが多いです。

3. 作用と副作用

作用

グリセリンが腸壁を刺激することで、次の作用が生まれます。
・腸の動き(ぜん動運動)が活発になる
・便に水分が加わり、柔らかくなる
・腸を押し広げることで「便意」を喚起する

物理的+刺激的な作用を持つため、強めに排便が促されます。

副作用

使用時に注意すべき点は以下です。
・腹痛
・肛門の違和感
・刺激が強く、時に痛みを感じることがある
・肛門周囲の傷(痔など)がある場合に悪化
・脱水(下痢が続いた場合)
・過度な繰り返し使用で腸の動きが悪くなる

特に高齢者は刺激で痛みを訴えることがあるため、慎重な観察が必要です。

4. 成分

一般名:グリセリン(50%前後)

特徴:
・刺激と浸透圧作用で排便を促す
・即効性が非常に高い
・適切に使うと効果は確実
・刺激が強いため頻回使用は避ける

5. 使用方法

※医師・看護師の指示が必須
※介護職は「実施してよい範囲」を施設のルールに必ず従う

一般的な使い方:

  1. 浣腸液の先端にゼリーを塗布
  2. 左側臥位(左向き)で横になってもらう
  3. 肛門からゆっくり挿入
  4. 薬液をゆっくり注入
  5. 挿入後は 2〜5分程度 我慢できれば効果が上がる
  6. トイレまたはポータブルトイレへ誘導
  7. 排便の量・性状を観察して記録する

介護現場では以下が重要ポイントです:
・「痛みが強い」「出ない」場合は無理をしない
・便が肛門近くに固く詰まっていると浣腸だけでは出ない
・誤挿入(膣への誤挿入)に特に注意
・排便後の脱水・血圧変動の観察

6. 他の排便薬・坐薬との違い

新人スタッフが混乱しやすい部分なので整理します。

● 新レシカルボン坐薬との違い

項目グリセリン浣腸新レシカルボン坐薬
作用強い刺激+物理作用ガス発生による優しい刺激
即効性数分〜15分10〜30分
刺激強い弱い
適応すぐに出したい時・頑固な便秘自然な排便を誘導したい時

強めに“確実に”出したい時は浣腸
自然に近い排便を促したい時はレシカルボン


● 経口下剤との使い分け

経口薬(酸化マグネシウム・ラキソベロン等)は
→ 翌日〜数日後の排便コントロール

浣腸・坐薬は
今すぐ排便が必要な時
という時間軸の違いがあります。

参考リンクはこちらです。👇
くすりのしおり グリセリン浣腸液50%「ケンエー」(120mL)

7. 薬価

(2024年参考)
・グリセリン浣腸 30mL:約30〜40円/1本
・60mL:約40〜60円/1本

安価で効果が強いため、現場で非常に使われやすい薬剤です。

8. まとめ

グリセリン浣腸は、腸を刺激して即効で排便を促す強力な方法です。

特に、
・排便が長く出ない
・便が直腸に溜まって苦しい
・自然排便が困難
・坐薬が効かない
といった時に大変有用です。

覚えておきたいポイント:
・即効性が高く、効果は確実
・刺激が強く、腹痛が出ることがある
・誤挿入に注意
・便が固すぎる場合は出ないこともある
・高齢者では脱水や血圧変動に注意
浣腸は排便ケアの“最終手段”として位置付けられることも多く、正しい理解が重要です。

適切に使えば、利用者の苦痛を大きく軽減できます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。

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