【お薬】緩下剤：酸化マグネシウムについて。効果・作用・副作用などを分かりやすく説明いたします。【介護】

酸化マグネシウム

酸化マグネシウムは、便を柔らかくして排便しやすくする「非刺激性下剤」です。
腸を刺激して動かすのではなく、便に水分を引き寄せてふわっとした状態にすることで、自然なお通じを促します。

高齢者の便秘治療では非常によく使われる薬で、刺激が少ないため長期的にも比較的使いやすい薬です。

簡単に言うと、「便をやわらかくして出しやすくする薬」と説明すると理解しやすいでしょう。

「カマグ」と呼ばれたり、商品名の「マグミット」の名前で呼ばれたりもします。

酸化マグネシウムは、以下のような便秘に効果があります。
・大腸の動きが弱くても使いやすい便秘薬
・硬い便が出にくいタイプの便秘
・刺激性下剤（ラキソベロンなど）を使うとお腹が痛くなりやすい場合

特に、「うさぎの糞のように硬い便」「コロコロ便」が続く方に効果的です。

腸の中で酸化マグネシウムが水と反応して「塩」を作り、この塩が腸の中に水分を引き寄せることで、
・便を柔らかくする
・排便しやすくする
という効果が生まれます。

腸を刺激しないので、お腹が痛くなりにくいという利点があります。

比較的安全性の高い薬ですが、注意する点もあります。
・下痢
・高マグネシウム血症（まれだが重要）
→ 腎臓の働きが弱い高齢者では起こりやすく、倦怠感、吐き気、眠気、脈の異常などが出る場合があります
・腹部膨満感
・長期大量服用での電解質異常

特に介護現場では、腎臓の状態が良くない高齢者には慎重に使われる薬である点を理解しておく必要があります。

・一般名：酸化マグネシウム
・分類：浸透圧性下剤
・特徴：刺激が少なく、習慣性も起こりにくい

同じ便秘薬でも、ラキソベロン（ピコスルファート）が「刺激して出す薬」なのに対し、酸化マグネシウムは「水分で柔らかくする薬」という違いがあります。

（医師の指示を最優先とした一般例）
・成人：1日1.0〜2.0g程度を1〜3回に分けて服用
・頓服として使われることもある
・効果は1〜2日かけてゆっくり出ることが多い

介護現場で気をつけたいポイント：
・飲んだタイミングと量を記録する
・水分をしっかり摂れているか確認する
・お通じが硬いままか、柔らかくなったか観察する
・下痢が続かないか注意する
・腎臓機能に問題がある利用者の場合は特に慎重に

便秘薬には大きく分けて「刺激するタイプ」と「水分で柔らかくするタイプ」があります。

・便が硬い場合 → 酸化マグネシウムが向いている
・出したいのに腸が動かず出ない場合 → ラキソベロンが向いている
状況に応じて、両方を併用することも珍しくありません。

薬価はメーカーや規格で異なりますが、参考として：
・酸化マグネシウム錠330mg：約3〜4円／1錠
・酸化マグネシウム錠500mg：約5〜7円／1錠
非常に安価で使われやすい薬の一つです。

酸化マグネシウムは、便を柔らかくして自然な排便を促す優しい便秘薬です。
腸を刺激しないためお腹が痛くなりにくく、長期でも比較的使いやすいのが特徴です。

覚えておきたいポイント：
・便を柔らかくする薬であり、即効性はない
・水分摂取が少ないと効果が出にくい
・腎機能が弱い高齢者は副作用に注意
・ラキソベロンと役割が違うので使い分けが大切

排便は生活の質に直結するため、便の硬さ・量・頻度を丁寧に観察し、気になる変化があれば医療職へ報告することが重要です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。