アミティーザ(ルビプロストン)
1. この薬はどんな薬?
アミティーザは、慢性便秘症を改善する処方薬で、腸に水分を引き込み、自然な排便を促す薬です。
刺激性下剤のように「腸を強く動かす薬」ではなく、腸の中に水分を増やして便を柔らかくし、スムーズに排便できるように整える薬です。
高齢者の慢性便秘に対して使われることが多く、腹痛が少ない下剤としても知られています。
介護現場で説明する場合は、「腸に水分を呼び込んで、自然な排便を助ける薬」と伝えると理解しやすいでしょう。
2. 効果
アミティーザが使われる場面は以下です。
・慢性便秘症(長く続く便秘)
・便が硬くて出にくいタイプの便秘
・刺激性下剤で腹痛が強く出る方
・自然に近い排便リズムを作りたい場合
アミティーザは、腸を無理に動かす薬ではないため、腹痛が起こりにくいという利点があります。
3. 作用と副作用
作用
アミティーザは小腸の表面にある「ClC-2(塩素チャネル)」を活性化します。
その結果、
・腸の中に水が分泌される
・便が柔らかくなる
・腸の動きが自然に整い、排便しやすくなる
という効果が得られます。
作用は自然に近く、下剤の中では比較的新しいタイプの薬です。
副作用
比較的安全性が高い薬ですが、以下の副作用に注意が必要です。
・吐き気(服用直後に起こる場合がある)
・下痢
・腹部の不快感
・まれに呼吸が浅く感じることがある(初回のみ)
吐き気は特に多く見られる副作用で、食後に服用することで軽減しやすいという特徴があります。
4. 成分
一般名:ルビプロストン
分類:腸管内への水分分泌促進薬
特徴:
・自然に近い排便が期待できる
・腹痛が少ない
・高齢者にも使いやすい
・刺激性下剤より習慣性が起きにくい
5. 使用方法
(医師の指示が最優先)
・通常、成人は 1回24μgを1日2回、食後に服用
・吐き気を防ぐため、必ず食後に飲む
・効果は服用を続けることで安定してくる
介護現場での観察ポイント:
・服薬のタイミング(食後になっているか)
・吐き気や気分不良の有無
・水分がしっかり取れているか
・排便のペースが整ってきているか
6. 他の下剤との違い
新人介護職の方が理解しやすいよう、特によく使われる薬と比較します。
● 酸化マグネシウムとの違い
| 項目 | アミティーザ | 酸化マグネシウム |
|---|---|---|
| 作用 | 腸から水分を分泌させる | 腸内に水分を引き寄せる |
| 腎機能の影響 | 受けにくい | 腎機能低下で副作用が出やすい |
| 向いている便秘 | 慢性的で硬い便 | 硬い便・軽度の便秘 |
→ 腎機能が弱い方にはアミティーザの方が安全性が高い場合がある
● ラキソベロン(刺激性下剤)との違い
| 項目 | アミティーザ | ラキソベロン |
|---|---|---|
| 作用 | 水分を増やし自然に出す | 腸を刺激して出す |
| 腹痛 | 少ない | 出ることがある |
| 習慣性 | 少ない | 長期使用で効きにくくなる |
| 効果 | 持続的・自然 | 翌朝に即効性 |
→ 自然に近い排便を整えたい時にアミティーザが適している
参考リンクはこちらです。👇
くすりのしおり アミティーザカプセル24μg
7. 薬価
(2024年時点の参考)
・アミティーザカプセル 24μg:約84〜90円/1カプセル
比較的高価な薬ですが、慢性便秘症の治療効果が期待できるため使用されます。
8. まとめ
アミティーザは、腸の中に水分を増やすことで便を柔らかくし、自然な排便を促す薬です。
刺激性下剤とは違い腹痛が少なく、慢性便秘症に向いています。
重要ポイント:
・食後に服用すると吐き気が出にくい
・自然に近い排便リズムを作れる
・腎機能が弱い高齢者にも比較的使いやすい
・即効性よりも「継続して効く薬」
・刺激性下剤が合わない方に選ばれやすい
排便コントロールでは、薬の特徴を理解し、腹痛・下痢・吐き気・排便ペースを観察することがとても重要です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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