ビオフェルミン(乳酸菌製剤)
1. この薬はどんな薬?
ビオフェルミンは、腸内の「善玉菌」を増やしてお腹の調子を整える薬です。
便秘の直接原因を治すというよりも、腸内環境を改善し、排便リズムを整える「基礎づくり」の薬と考えると分かりやすいでしょう。
下剤のように腸を動かしたり、便を柔らかくする作用はありませんが、
・便秘
・下痢
・お腹の張り
など、幅広い症状に使われます。
「お腹の善玉菌を増やして、腸を健康にしてくれる薬」と説明できます。
2. 効果
ビオフェルミンは以下のような症状に使われます。
・慢性的な便秘の改善
・下痢の改善
・お腹の張り(ガス)
・腸内バランスの乱れ
・抗生物質服用後の腸トラブル
便秘に対しては単体で強い効果はありませんが、排便リズムを整え、下剤の量を減らすという目的で処方されることが多くあります。
3. 作用と副作用
作用
ビオフェルミンに含まれる乳酸菌(ビフィズス菌など)が腸内で増えることで以下の効果が生まれます。
・腸内を弱酸性にし、有害菌を減らす
・便を適度に柔らかい状態に保つ
・自然なぜん動運動が整う
・ガスやお腹の張りを軽減
「腸の土台を整える」働きがあるため、副作用が非常に少ない安全な薬として知られています。
副作用
ほとんどありませんが、まれに以下があります。
・お腹の張り
・軽い腹部不快感
基本的には安心して使える薬で、高齢者にも向いています。
4. 成分
一般名:乳酸菌製剤(ビフィズス菌・フェーカリス菌など)
特徴:
・腸内環境を改善
・便秘にも下痢にも使える
・安全性が高く、副作用がほぼない
・長期間の使用にも向く
5. 使用方法
(医師の指示が最優先)
・1日3回、食後に服用することが一般的
・粉薬、錠剤、顆粒など剤型が豊富
・効果はゆっくり出る(数日〜)
介護現場で観察すべきこと:
・排便の量や硬さの変化
・お腹の張りが改善したか
・下剤の量が減らせているか
・食後にしっかり飲めているか
6. 他の便秘薬との違い
ビオフェルミンは「下剤」ではありません。
排便を促す薬と比較すると違いが明確になります。
● 刺激性下剤(ラキソベロン・センノシド)との違い
| 項目 | ビオフェルミン | 刺激性下剤 |
|---|---|---|
| 作用 | 善玉菌を増やし腸を整える | 腸を刺激して出す |
| 即効性 | なし | 翌朝〜即効 |
| 副作用 | ほぼなし | 腹痛・下痢あり |
| 目的 | 排便リズムの改善 | 今すぐ出したい時 |
● 緩下剤(酸化マグネシウム)との違い
| 項目 | ビオフェルミン | 緩下剤 |
|---|---|---|
| 作用 | 腸内環境改善 | 便を柔らかくする |
| 即効性 | 弱い | 1〜2日で効果 |
| 役割 | 基礎づくり | 結果を出す薬 |
ポイント:ビオフェルミンは「排便の土台作り」、下剤は「排便させる薬」
参考リンクはこちらです。👇
くすりのしおり ビオフェルミン錠剤
7. 薬価
(代表的な例・2024年参考)
・ビオフェルミン錠剤:1錠 約3〜5円
・ビオフェルミン散:1g 約10〜12円
剤型により異なりますが、比較的安価です。
8. まとめ
ビオフェルミンは、腸内の善玉菌を増やし、お腹の調子を整える薬です。
便秘に対しては即効性はありませんが、腸の基礎力を高め、排便リズムを整える大切な役割を持っています。
覚えておきたいポイント:
・下剤ではなく、腸を健康にする薬
・便秘にも下痢にも効果
・副作用がほぼない安全な薬
・継続して使うことで効果が出る
・下剤の量を減らす補助としても効果的
排便管理では、強い薬だけでなく、こうした「腸を整える薬」を併用することで、より安定した排便コントロールが可能になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、今回はこの辺で失礼いたします。
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