指定難病25「進行性多巣性白質脳症」とは?
1. 進行性多巣性白質脳症
突然の言語障害や視野の欠け、そして進行する認知機能の低下──それは「進行性多巣性白質脳症(しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう)」の可能性があります。
この病気は、脳の白質(神経の情報伝達を担う部分)が壊れていくことで、さまざまな神経症状が現れる稀な病気です。
ウイルスの再活性化が原因とされ、免疫機能が低下している人に発症することが知られています。
2. 分かりやすい説明
進行性多巣性白質脳症は、脳の中の“神経の電線”のような部分(白質)が傷つくことで起こる病気です。
元々体の中にある「JCウイルス」というウイルスが、免疫力が下がったときに再び活発になってしまい、脳にダメージを与えます。
特に、がんやエイズ、免疫抑制剤を使っている人に発症しやすく、記憶や言葉、運動の動きなどに影響が出てしまいます。
3.症状
この病気の症状は人によって異なりますが、以下のようなものが見られます。
- 言葉がうまく出なくなる(失語)
- 手足の動きがぎこちなくなる(運動障害)
- 見える範囲が欠ける(視野欠損)
- 人の名前や場所を忘れる(認知障害)
- 性格の変化、意欲低下
症状はゆっくり進行することが多く、日常生活にも大きな支障をきたすようになります。
4. 現在分かっている原因と研究の動き
原因とされているのは、ヒトポリオーマウイルス属の「JCウイルス」です。
このウイルスは多くの人が持っていますが、通常は問題を起こしません。
しかし、免疫機能が極端に低下したときに、ウイルスが再活性化して脳の白質を壊すことがあります。
現在、治療法の確立には至っていませんが、抗ウイルス薬や免疫機能の回復を促す治療が研究されています。
5. 治療法
残念ながら、進行性多巣性白質脳症に対して有効とされる特効薬はまだありません。ただし、以下のような対応が行われています。
- 免疫抑制薬の中止や変更(免疫回復を促す)
- 抗ウイルス薬の使用(効果には個人差あり)
- 対症療法:リハビリテーション、てんかん発作への対応など
症状の進行を抑えるには、早期の診断と、免疫機能の回復が重要です。
6. 患者数
厚生労働省の情報によれば、日本国内での進行性多巣性白質脳症の年間新規発症数は数十例〜100例未満とされており、非常にまれな疾患です。特に免疫不全を伴う疾患の治療中に見つかるケースが多くなっています。
7. 家族・介護職が意識したい支援のポイント
介護において重要なのは、認知や言語機能の低下への対応です。
- 話がうまくできない方には、表情や身ぶりを活用したコミュニケーションを。
- 記憶の混乱がある方には、安心できる環境を整えることが大切です。
- 繰り返しの説明やゆっくりとした対応が、本人の不安軽減につながります。
- 発作や転倒のリスクにも注意し、医療との連携が欠かせません。
精神的サポートと、安全を確保した日常生活の支援が鍵となります。
8. まとめ
- 脳の白質が壊れていく、ウイルス性の稀な病気です。
- 免疫力が落ちたときにウイルスが活発になり発症します。
- 言語や運動機能、認知面にさまざまな症状が出ます。
- 治療法は確立されておらず、免疫機能の回復が重要です。
- 安心できる環境と、穏やかな対応が介護のポイントです。
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
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