指定難病27『特発性基底核石灰化症』とは?
1. 特発性基底核石灰化症
「特発性基底核石灰化症」は、脳の特定の部位にカルシウムが沈着してしまう、まれな神経疾患です。
基底核(きていかく)や小脳、視床(ししょう)などに石灰化が進み、徐々に運動障害や認知機能の低下などの症状が現れることがあります。
家族性(遺伝性)であることが多く、発症年齢は個人差があります。
この病気は「ファー(Fahr)病」とも呼ばれ、症状が出るまでは無症候のこともあり、偶然の脳画像検査で発見されるケースも少なくありません。
2. 分かりやすい説明
脳には「基底核(きていかく)」という運動を調整する大切な部分があります。
この病気では、そこにカルシウムがたまって“石”のように硬くなってしまうのです。
まるで配管にカルキがたまって詰まり始めるように、脳の働きも少しずつスムーズにいかなくなります。
はじめは何も症状がないこともありますが、進行すると体が思うように動かなかったり、言葉が出づらくなったり、記憶や判断力が落ちてきたりします。
3. 症状
症状は以下のようなものが見られます(個人差があります):
- 歩行障害(足を引きずる・ふらつく)
- 筋肉のこわばりや震え(パーキンソン症状に似る)
- 精神症状(うつ症状、幻覚、妄想など)
- 認知機能の低下(記憶力や判断力が鈍くなる)
- けいれん発作
これらは徐々に進行する場合もあり、日常生活に介助が必要となることがあります。
4. 現在分かっている原因と研究の動き
多くは遺伝子の異常(特にSLC20A2やPDGFRBなど)によって引き起こされると考えられています。
特発性という名称ではありますが、近年の研究では遺伝性のパターン(常染色体優性遺伝)が多くを占めると判明しており、家族内での発症がみられることもあります。
一部には、原因が特定できない非遺伝性の症例もあります。
5. 治療法
残念ながら、この病気の進行を完全に止める治療法は現在のところ確立されていません。
しかし、症状に応じた対症療法(症状をやわらげる治療)は行われています:
- パーキンソン様症状 → 抗パーキンソン薬
- 精神症状 → 抗精神病薬、抗うつ薬
- けいれん → 抗てんかん薬
- リハビリテーション(歩行訓練や作業療法)
症状の出方が人によって異なるため、個別対応が重要です。
6. 患者数
日本国内における推定患者数は非常に少なく、難病情報センターの公表データによると、数百人程度と考えられています。
ただし、無症状の人も多く、画像検査を受けなければ発見されない例も含めると、実際にはもっと多く存在している可能性もあります。
7. 家族・介護職が意識したい支援のポイント
- 急激な変化に気づく:認知症と間違われやすいため、医療機関との連携が重要です。
- 転倒防止の環境づくり:歩行障害がある場合は、家の中の段差をなくす、手すりを設置するなどが効果的です。
- コミュニケーションの工夫:言葉が出にくくなることがあるため、ゆっくり話す、イラストやジェスチャーを使うなどの工夫が大切です。
- 感情の変動に寄り添う:精神症状が出ることがあるため、安心できる環境を心がけましょう。
8. まとめ
- 基底核などにカルシウムが沈着するまれな脳疾患です。
- 初期は無症状で、画像診断で偶然見つかることもあります。
- 運動障害や精神・認知症状が進行することがあります。
- 遺伝性の場合が多く、家族歴も重要な情報です。
- 治療法は確立されていないため、症状ごとの支援が中心になります。
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
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