■① 病気の説明

下垂体性ADH分泌異常症は、水分の調整に関わる抗利尿ホルモン(ADH)が過剰に分泌されることで、体内に水分がたまりすぎる病気です。
その結果、血液中のナトリウム濃度が低下し(低ナトリウム血症)、意識障害やけいれんなどの症状が現れることがあります。
外見からは分かりにくい一方で、急激に状態が悪化することもあるため、注意深い観察が必要です。
■② 分かりやすい説明

本来、体は「水分が多いと尿として出す」という仕組みがあります。
しかしこの病気では、ADHというホルモンが多く出すぎてしまい、水分を体にため込んでしまいます。
その結果、血液が薄まった状態になり、体のバランスが崩れます。
たとえば、
「なんとなくボーッとして反応が鈍い」
「急にふらつきが出て転びやすくなった」
といった変化が見られることがあります。
■③ 症状

・倦怠感(だるさ)
・頭痛や吐き気
・意識がぼんやりする、反応が鈍い
・けいれん発作(重症時)
・ふらつきや転倒しやすさ
■④ 原因
下垂体やその周辺の異常により、ADHが過剰に分泌されることが関係しています。
具体的には
・脳腫瘍や頭部の病気
・外傷
・薬剤の影響
などが関連することがあります。
ただし、すべての発症原因が明確に分かっているわけではありません。
■⑤ 治療

原因となる疾患がある場合は、その治療が行われます。
あわせて、低ナトリウム血症の改善を目的とした対症療法が行われます。
・水分摂取の制限
・点滴による電解質補正
・薬物療法
急激なナトリウム補正は危険なため、慎重に管理されます。
■⑥ 患者数

詳細な患者数は明確ではありませんが、比較的まれな疾患とされています。
■⑦ 介護でできる支援

① 転倒・事故予防
・ふらつきがある場合は必ず見守りを行う
・夜間は足元灯を設置する
・床の障害物を取り除く
・ベッドからの立ち上がり時は付き添う
② 動作支援
・急な立ち上がりを避けるよう声かけする
・移動時は手すりや歩行補助具を使用する
・体調が不安定な日は無理に歩かせない
・トイレ誘導は余裕をもって行う
③ 疲労管理
・だるさが強い時は活動量を調整する
・日中でも休憩を取りやすくする
・体調の変化(眠気・反応低下)を記録する
・無理なスケジュールを避ける
④ 環境調整
・水分管理がしやすいよう、飲水量を記録する
・医師の指示に基づいた水分制限を守れる環境にする
・トイレまでの動線を安全にする
・室温を適切に保ち、脱水や過剰摂取を防ぐ
⑤ 心理的サポート
・「水分制限がある理由」を分かりやすく説明する
・我慢によるストレスを軽減するため、口腔ケアやうがいを提案する
・意識がはっきりしない時でも、落ち着いて声かけを続ける
・体調変化に不安を感じている場合は、丁寧に状況を共有する
■⑧ まとめ
・ADHの過剰分泌により水分バランスが崩れる病気
・低ナトリウム血症が主な問題となる
・意識障害やけいれんに注意が必要
・治療は原因対応と水分・電解質管理が中心
・介護では「水分管理と転倒予防」が重要
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
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