■① 病気の説明

慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、肺の動脈にできた血栓(血のかたまり)が完全に溶けずに残り、血管を塞ぐことで肺の血圧が高くなる病気です。
その結果、血液の流れが悪くなり、心臓、特に右心室に大きな負担がかかります。
進行すると呼吸困難や心不全を引き起こし、日常生活に大きな影響を与える慢性の疾患です。
■② 分かりやすい説明

本来、血栓は時間とともに体の中で溶けていきます。
しかしこの病気では、その血栓が肺の血管に残ってしまいます。
たとえば、
排水管にゴミが詰まると水の流れが悪くなりますよね。
それと同じで、血液がスムーズに流れなくなります。
その結果、肺の中の圧力が上がり、
少し動いただけでも息切れや疲れやすさが出てきます。
■③ 症状

・労作時の息切れ
・疲れやすさ
・胸の違和感や痛み
・めまい、失神
・進行するとむくみ(下肢浮腫)
■④ 原因
慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、
・肺塞栓症(血栓が肺に詰まる病気)後に発症することがある
とされています。
ただし、なぜ血栓が完全に溶けず残るのかは、十分に分かっていない部分もあります。
■⑤ 治療

治療には以下のような方法があります。
・抗凝固療法(血栓の再発予防)
・外科手術(肺動脈内膜摘除術)
・カテーテル治療(バルーン肺動脈形成術)
・肺高血圧症に対する薬物療法
・酸素療法
外科的治療により改善が期待できる場合もありますが、すべての患者に適応されるわけではありません。
■⑥ 患者数

「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班」による調査では、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の患者数は5,543名(2023年度)です。
日本では数千人規模とされていますが、正確な患者数は変動があり明確ではありません。
■⑦ 介護でできる支援

① 転倒・事故予防
・めまいや失神のリスクがあるため立ち上がり時は見守る
・室内の段差や障害物を減らす
・滑りにくいマットや手すりを設置する
② 動作支援
・動作はゆっくり行い、息を整えながら進める
・長距離移動は避け、途中で休憩を入れる
・必要に応じて車椅子や歩行補助具を活用する
③ 疲労管理
・活動時間を短く区切る(例:数分ごとに休憩)
・体調や呼吸状態を観察しながら介助する
・無理なスケジュールを組まない
④ 環境調整
・生活動線を短くし、移動負担を減らす
・酸素機器のチューブが絡まないよう整理する
・室温・湿度を一定に保つ
⑤ 心理的サポート
・息切れへの不安を軽減できるよう「すぐ休める環境」を整える
・症状が出た際の対処方法を一緒に確認する
・日々の体調変化を共有し、安心感につなげる
■⑧ まとめ
・肺の血管に血栓が残ることで起こる病気
・肺の圧が上がり心臓に負担がかかる
・原因は一部判明しているが不明点もある
・手術などで改善が期待できる場合もある
・介護では「息切れと失神リスクへの配慮」が重要
参考引用)公益財団法人、難病医学研究財団『難病情報センター』ホームページより。
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